備忘録

マル激全アーカイブス視聴を目指して

#0002_010223_メモ・補足

#0002_2001年2月23日
自業自得のメディア規制


・青少年社会環境対策基本法
 強力効果論ではなく、限定効果論が主流
 暴力的なメディアが子供を暴力的にするのではなく、
 一人で見るのか、あるいは誰と一緒に見るのか、が大きく影響する

 学問的無知な状態で立法行為に突き進むのは問題

 他のメディア規制は、ゾーニング規制となっている
 見たくない、あるいは子供に見せたくない権利を保証する
 事前に暴力や性的表現をアナウンスして、
 視聴者が不意打ちを受けないよう、選択できるようにしている

・規制に対する世論の鈍感
 メディアの悪影響を懸念する間違った前提と、
 その程度の規制なら許容してもいいのでは、
 という鈍感はどこから来るのか?

 一般に、規制によって巨大な権益が生まれて、
 民間が官・政に媚びるようになる
 売防法施行後、売春が非合法となって警察を呼べなくなった
 それまでヤクザは、彼らの美学から色町花街への介入はなかったが
 これを機にトラブルの調停役として入っていった
 その結果、ヤクザが警察へ媚びる(警察がお目こぼしをする)事態となり、
 警察側に利権を生じた。

・規制による警察利権の拡大例
 新宿、歌舞伎町近辺の風俗営業について、
 無届けで営業している店がお目こぼしされるため媚びる
 パチンコのCR機導入について
 プリペイドカード方式への変更で警察に利権が生まれた

・メディアコントロール
 誰が政治家であったとしても、メディアをコントロールしたいと思う。
 政治家へ過剰に資源を渡してしまうと、必ず政治家側にだけ有利で
 民間にとって不利なメディアの動きを誘発する

・椿発言によるチリングエフェクト
 メディアの人間は、調子にのると危ない、という認識が広まった
 それは今でも残っている
 そのため、与党内で弱った人物をたたくような報道ができても、
 与党対野党の構図での報道ができなくなった
 法案ができる、できないに関わらず、
 ビビりによる自主規制がはびこる可能性がある

・帰属処理
 メディアはこれまで、有害コミック規制など、少年犯罪の理由を何かに
 帰属させてきたくせに、その矛先が自分に向いて泡を食っているだけ
 自業自得な面もある

報道被害の対策として
 ある種のプロフェッショナル、社内オンブズマンなどを設置するべき

 ポジティブな面でも、専門職としてのリサーチャーを入れるべき

・メディアへの不信
 規制が許容されやすい背景には、規制対象への信頼の失墜がある
 メディアは信頼できないので規制すべし、となる
 メディアは専門家の意見を取り入れて、
 アリバイを作ったほうがよいのではないか
 突っ込みどころの多い報道がほとんど

・メディア報道のあり方
 ロス疑惑での三浦和義への過熱報道はほとんど嘘であったが
 名誉棄損での敗訴によるペナルティーが低すぎる
 そのため、メディア側では書かなきゃ損、という
 潮流ができあがっている
 この事件での名誉棄損の賠償は100万円前後となった
 懲罰的賠償請求を認めるべき

・民事と刑事の賠償の法義
 民事は現状回復、慰謝料
 刑事は抑止
 民事にも抑止効果としての懲罰的賠償請求が必要ではないか

・チェックアンドバランスの不在
 少年犯罪抑止の優先順位が分からなくなる
 その対策立案が得票行動につながってしまっている
 得体のしれないもののフレームアップで
 自分たちの内側の不安が覆い隠される

記者クラブ制度の弊害
 古くは共産党対策として設置されたが、
 官報よろしく垂れ流す、以外の調査報道ができなくなっている
 第四の権力として期待される統治権力の監視が機能しない
 調査報道がなされない上、責任主体のない情報が拡散される
 先進国の中で、日本の資本システムが
 一番マスコミ・世論に対して弱い (小室直樹)
 マスコミ報道が著しく偏って世論形成している状態では
 司法もそれを配慮せざるをえない、かのような空気がある
 警察側のリークが、いかにも客観的な事実であるかのように報道される

再販制度の廃止によるメリット
 公正競争をきっかけに、既得権益の揺らぎ、
 記者クラブ制度への揺らぎ、と続いて大きな波及効果を見込める。
 新聞の宅配制を廃止すれば、各社紙面の中身での差別化が
 必要となって、調査報道での正当な競争を始めざるを得なくなる。
 既存メディアは既得権益の喪失と報道体制の見直しを要求されるため
 再販制度記者クラブ制度撤廃に反対する

・クラブ制度の実態
 すべてのクラブは新規参入できない構造となっていて
 日本新聞協会か民放連でないと入れない
 市町村、警察など全てにクラブが存在して、
 アクセスを制限するように奥座敷などもある
 日本では本当に公の場での記者会見はない


<書籍・映画>
華氏451度 / レイ・ブラッドベリ (1953)
華氏451度 / フランソワ・トリュフォー (1966)

<補足>
*青少年有害社会環境対策基本法案 (2000年)
 自民党が作成した法律案
 2002年に国会への上程を予定していたが、世論の強い反対で提出を断念した

 その後、2004年と2014年に、修正した法案が国会に提出されたが、
いずれも廃案となっている

*強力効果論
 メディアの影響は大きく、受け手に対して、
 直接的、即効的な影響を及ぼすという考え方の総称
 過去の実証的研究で裏付けが取れたことはない

*限定効果論
 メディアの影響は、それほど大きいものではなく、
 間接的なものにとどまるとする理論
 暴力的な素質を持つ子供は、メディアでなくても、いずれ
 別の要因が引金を引く。だから、メディアの除去では解決しない。
 メディアの内容よりも、むしろ受容環境(誰と一緒に見るか)が大事なポイントである

 

売春防止法 (1958年4月罰則施行)
 売春を助長する行為等を処罰するとともに、
 売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び
 保護更生の措置を講ずる法律
 この法律の施行に伴い、赤線が廃止された

*赤線 (1946年~1958年)
 GHQによる公娼廃止指令から、売春防止法の施行まで、
 半ば公認で売春が行われていた日本の地域
 赤線区域、赤線地帯などとも呼ばれた

CR機 (1990年導入営業開始)
 プリペイドカードに対応したパチンコ遊技機
 「CR」は「card reader」の頭文字、というのが定説
 1989年、全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)発足
 これに加盟する関東圏の7店で営業開始
 CR機の売上はプリペイドカード会社に集められ、
 どの店でどれだけ売上があったかわかる仕組みになっている
 パチンコ店には、その売上に応じてカード会社から売上金が
 振り込まれるシステムであった

椿事件、椿発言 (1993年)
 朝日放送(テレビ朝日)による放送法違反が疑われた事件
 当時、取締役報道局長であった椿貞良の日本民間放送連盟会合での
 発言に端を発したことからこう呼ばれる。
 1993年6月の衆議院解散後の総選挙にて、自民党過半数を割り、
 細川連立政権が誕生、自民党は結党以来、初めて野党に転落した。
 その後、9月21日の民放連の会合で、椿はニュースステーション
 圧力をかけ続けてきた自民党守旧派は許せない、細川連立政権の
 手助けとなるような報道をしよう、と発言
 この発言が自民党内に流れ、テレビ朝日が調査を開始し、
 椿局長へ厳重注意を言い渡した。
 その後、産経新聞がこれらの偏向報道を記事にし、
 郵政省が放送法違反の恐れから、無線局運用停止を示唆
 椿は衆議院で証人喚問され、発言を陳謝した。
 翌1994年8月にテレビ朝日は内部調査の結果を郵政省へ報告し、
 免許取消し等の措置は見送り、行政指導にとどめた。

 その後も自民党内で放送番組への規制強化の声が高まり、
 2003年11月、ニュースステーションにて、民主党菅直人
 過度に好意的に報道した、として自民党安倍晋三幹事長が
 抗議し、出演一斉拒否を決定したり、両者の対立はしばしば再燃している。

オンブズマン
 スウェーデン語:ombudsman
 原義は「代理人
 行政機関やメディア、社会などを外部から監視・検証し、
 権利・利益の侵害に対する調査及び救済の勧告を図る制度
 または団体のこと

ロス疑惑 (1981~1982年)
 アメリカ、ロサンゼルスで起きた銃殺・傷害事件に関して
 三浦和義にかけられた一連の疑惑
 報道の過熱化、人権侵害や一事不再理の原則などの問題を投げかけた
 ロサンゼルスで起きた殺人事件に関して、当初被害者の夫、
 三浦和義が「保険金殺人の犯人」ではないかと日本国内の
 マスメディアによって嫌疑がかけられ、劇場型犯罪となった。
 殺人事件に対する科学的な考察よりも、
 その男性にまつわる疑惑について盛んに報じられた。

 三浦は、2003年日本の裁判で無期懲役から一転して無罪が確定した。
 しかし、その後2008年にアメリカで、共謀罪の罪で逮捕され、
 ロサンゼルスに移送後、ロサンゼルス市警の留置施設にて、
 首をつって自殺した。

 この銃殺事件の3か月前、「殴打事件」に絡んだ殺人未遂罪で
 1998年9月、懲役6年の実刑判決が確定。
 1998年11月に収監され、2001年1月に宮城刑務所を出所した。
 未決勾留日数を差し引いた約2年2カ月間、服役した。

*鉄の三角形
 政策形成過程における政官財(政界、官界、財界の3業界)の
 癒着構造を示す語。

 政官財が以下の行動を取ることにより、
 国益より省益・企業益・私益が優先される。

 財界等の業界団体や圧力団体が政治献金族議員(政治家)を支援し、
 財界に影響力のある官僚を天下りで懐柔する。
 官僚は所轄業界をまとめ、その利益代表として動き、
 政治家・財界を許認可権限・公共事業・補助金で影響力を持つ。
 政治家は官僚・財界の通したい予算・法案成否について影響力を
 行使し、財界から政治献金を集め、官僚への限定的指揮権を持つ。

ルーシー・ブラックマン事件 (2000年7月)
 神奈川県三浦市でイギリス人女性ルーシー・ブラックマン
 強姦されて死亡した事件

 2000年7月1日にホステスとして六本木で働いていたブラックマンが、
 行方不明になった。7月3日に友人が警察に捜索願を出した。
 8月22日にブラックマンの妹が記者会見し、1万ポンド(当時160万円)の
 懸賞金をかけた。10月12日に別件の準強制わいせつ容疑で織原城二
 容疑者が逮捕された。その後、2001年2月、三浦市内の海岸にある
 洞窟内、地面に埋められた浴槽内で切断された遺体が発見された。
 その後、ブラックマンを含めた10人の女性(日本人4人と外国人6人)に
 準強姦をし、そのうち2人の女性を死亡させたとして東京地検から
 東京地裁に起訴された
 審理は2000年12月の初公判から2007年4月の判決まで61回に及んだ
 2010年12月7日付で最高裁控訴審無期懲役判決を支持して
 被告人の上告を棄却する決定をしたため無期懲役が確定した

再販制度 (1953年、独占禁止法の改正)
 正式には再販売価格維持制度
 独占禁止法上は原則として禁止されている再販売価格の指定を
 例外的に認める制度。書籍、雑誌、新聞及びレコード盤、
 音楽用テープ、音楽用CDの6品目については例外的に、
 言論の自由や文化の保護という見地から、再販売価格の指定が
 認められてきた(著作物再販制度)。
 出版物についての廃止検討が70年代末に公正取引委員会から
 提起され、特に90年代に入って本格的になった。
 これに対して、日本新聞協会が新聞の戸別配達の維持や質の低下の
 回避などを主張し、強く反対している。
 また、05年末に公正取引委員会は、差別価格販売や定価割引等を
 禁止する独占禁止法上の「特殊指定」の新聞への適用を見直す
 考えを示したが、反対が強く、実施はされていない。


ウォーターゲート事件 (1972年)
 アメリカの政治スキャンダル事件
 1972年6月17日にワシントンD.C.民主党本部で起きた中央情報局
 (CIA)工作員による盗聴侵入事件に始まり、1974年8月9日に
 ニクソン大統領が辞任するまでの盗聴、侵入、裁判、もみ消し、
 司法妨害、証拠隠滅、事件報道、上院特別調査委員会、録音テープ、
 特別検察官解任、大統領弾劾発議、大統領辞任のすべての経過を
 総称して「ウォーターゲート事件」という