備忘録

マル激全アーカイブス視聴を目指して

#0006_010323_システム設計と世代間利害対立

#0006_2001年3月23日
ハイビジョン事業失敗はテレビ危機の予兆なのか


・NHKのアナログハイビジョン
 NHKのアナログハイビジョンは国際規格に採用されず、
 最終的にデジタルハイビジョンに移行し、税金が無駄に使われた
 NHKの予算は国会にある為、税金が投入されており、
 それは報道されておらず、アカウンタビリティーはどこにあるのか

・デジタル化の恩恵とは
 双方向通信でのクイズの景品、画質向上、ノイズ耐性向上が
 挙げられているが、費用対効果は妥当と言えるのか

 今後、インターネットが拡大し、誰でも気軽に、
 小型のカメラで撮影・配信が可能になったとき、
 テレビ業界は、競合が増えることになり、付加価値の競争が始まる

 デジタル化について、高精細度を強調するテレビ番組が
 放送されていたが、焦点はそこではないだろう
 ちなみに、この番組の落ちは「画質にふさわしいコンテンツが必要だ」

統治権力主導の新技術の導入
 分断統治、規制による利権拡大など
 必ず何か意図があって主導しているため、
 単純にメディアの報道を鵜呑みにせず、
 自分たちの税金が使われていることを自覚してほしい

・NHKネット参入への反発
 NHKは世界的に見ても多数の電波を独占している
 それに比べて、民法は数が少ないので、NHKを批判している
 民法がNHKのネット参入に反対する理由として、
 -税金ともいえる受信料を財源とするNHKは、公共放送であって、
  民間に比べて、業務内容の範囲が制限されるから
 -NHKは全国あまねく放送を行うユニバーサルな特殊法人であり、
  放送法はインターネットなどの通信分野の放送を想定していない
  (ちなみに、旧郵政省はNHKのネット参入には放送法の改正が
   必要としていたが、その態度を180°変えたことに対する抗議)

・民放がNHKを批判できる立場にあるのか
 民法もNHKと同じく、守られている側で、新規参入ができない現状、
 我々(ビデオニュース側)としても、民放各局に同じことを言いたい
 番組制作における費用対効果という面では、
 我々も大手メディアに負けていないつもりであるし、
 玉石混淆のネット上には、少ない費用で内容の濃い調査報道を
 している人が少なからずいるはずである

・インターネット新規参入の苦労
 記者クラブに入っていないがために、
 会見ひとつとっても出席できず、質問できず、
 ということが往々にして起こる
 ただし、逆に言えば、この逆境で修業できれば、
 民法各社での経験に勝る、知識・技術・体験が得られるだろう

・NHK、民放は貸しビル業と化すか
 将来にアセット(資産)を残せなければ、
 都内一等地にある建物しか残らないのではないか
 調査報道ができない以上、費用ばかりがかさんで立ち行かなくなる

・世代間の利害対立
 現在の上層部は、が退職金と天下り先が保証されて、
 悠々自適の老後が送れれば、会社の今後などどうでもよい、
 と考えていて、若手は乗り捨てられたものを押し付けられて、
 限られた選択肢しか残っていない、という状況になるのではないか

 日本では利害対立がない、と言われることがあるが、
 いわゆるアメリカのような階級差はないように見えるものの、
 激烈な潜在的問題として、世代間の利害対立がある
 現在の中堅は、上層部の乗り捨てを見越して、同じタイミングで、
 乗り捨てるよう、自分のスキルアップに勤しんでいる
 乗り捨てた後、海外などで戦えるよう、資格を準備している

・若手世代のプライバタイゼーション(公の喪失、利己主義)
 今の20, 30代の人は組織への帰属意識が低く、
 既得権益の理不尽による鬱屈がかなり溜まっている
 今民放が持っている既得権益が何を守るものなのか、
 彼らは敏感に感じ取っている
 自分が面白いと思わないと、やってられない、
 意味のないこと、つまらないことはやりたくない、という感覚が強い
 プライバタイゼーション、非生活主義化がかなり進んでいる
 一方で、モノ離れ、カネ離れも進んでいる。
 仮に、収入が2/3、半分になったとしても面白いことをしたい。
 と思う人が増えつつある。

 辞職を悩む人も多いが、ノウハウを蓄積して、仲間を増やして、
 ぜひ、スピンアウトして、今後来るであろうインターネットを通じた
 メディアの競争に高いクオリティで参入してほしい、と伝えている

・システムか人か
 日本の没落の原因は、
 日本の禊文化、スケープゴートにマイナスをなすりつけて排斥し、
 失敗の原因追求や分析を怠ってきたから、という論調が増えている
 つまり、システムの問題で、人が代わっても同じとする議論だが、
 しかし、システムを変えるのは人である

 システムが問題であるときこそ、人が動いてシステムを変えなければならない
 システムのここが問題だから、こう変えるべきである、私を責任ある立場に
 つけてくれ、という人間が出てこないとシステムを変えられない
 (例えば、日産 カルロス・ゴーンのような)

 日本では、システムが問題視されるべきときに、人が問題にされ、
 いよいよシステムを変えるときに、人のことが出てこない

 近代政治学、近代社会学では、既存のシステムの問題点を指摘し、
 具体的な方策を定められる人がトップに立ち、既存の人身を一新して、
 その勢いを利用して、一気にシステムを変える
 システムが自動的に変わるには、よほどの長い時間が経過するか、
 天変地異などの外部要因がなければ無理である
 民間も同じで、年功序列、派閥人事ではなくて、優秀であれば、とにかく
 登用しないと企業の存続にかかわる、という危機感が共有されつつある
 また、システム設計のできる優秀な人材が、システムの抱えている問題を
 吸収してしまうこともある
 例えば、教育現場で、優秀な先生が頑張りすぎると、そもそもシステムが
 抱えている問題が見過ごされてしまい、改善することができない

・何よりもダメな日本
 今、敗戦後55年経て、本当の意味で敗戦が訪れている
 敗戦後、目標を戦勝から経済成長へ変えただけで、
 赤信号みんなで渡れば怖くない、という意識のもと、
 まったく同じシステムで突き進んできた
 危機意識を惹起して、食い止めるアイディアを伝えていくしかないだろう
 すでに、ソフトランディングは無理だが、
 ハードランディングはできるのではないか
 (クラッシュは避けられるのではないか)
 危機感を惹起して、空気を変えられれば、、、

<書籍・映画>
なし

<所感>  2024年1月21日
 世代間の利害対立は今現在進行形で自分が感じているところで、
 20年以上前から勃発していたとは驚いた。自分がそれを感じ始めた
 のはここ数年(マル激視聴後)のことだが、ある程度、将来を見通せる
 ようになったからだと思う。20代若手でそこまで思いが至るなんて、
 自ら顧みても、とてもそんな余裕はなかったように思う。

 印象的な文言は、
 「アカウンタビリティー」「世代間利害対立」「乗り捨て」
 「システム設計」「優秀な人材のシステム課題吸収問題」