備忘録

マル激全アーカイブス視聴を目指して

#0003_010302_イエロージャーナリズムと第三項排除

#0003_2001年3月2日
謝罪の異文化摩擦

えひめ丸事故に対するアメリカの謝罪
 以下、アメリカ ファロン特使の回答
 ワドル艦長本人が直接に謝罪できないのはなぜか?
 謝意を伝えることは日米の文化的、法的違いがある
 日本ではどんな状況でも文化が謝罪を要求する
 しかしアメリカでは有罪になるまで推定無罪となる
 自らの訴追を招く証言は拒否する権利が認められる
 そこがアメリカの法体系の信条であり、日本との違いで
 お互い分かり合えない根源である

・日米の謝罪文化の違い
 日本
 十分に相手の痛みに共振した、または
 過去に起こってしまったことについて、
 自分がどういう情緒的な状態であるかを表明すること
 特に、謝罪のみで現状回復の責任を負わないことも多い
 また、感情的な回復のための共同体内部への謝罪が多く、
 ある種のスケープゴートとしての側面を持つ
 謝罪すべきか、そうでないかは身内意識から判断され、
 それがない場合は無関係と認定され、謝罪することはない
 → 旅の恥はかき捨て文化の延長線上
 ただし、ヤクザの界隈ではけじめ、落とし前、手打ちの文化はある
 アメリ
 責任の所在を明らかにし、その後の現状回復、
 賠償について言明する、という意味合いを含む
 その後の刑事訴追、民事賠償を負うという表明になりかねない
 基本的にシンクロナイゼーションは信じないし、不可能と考えられている。
 また、再発防止の観点から、謝罪すべきかどうかが検討され、
 謝罪によって問題の背後にあるシステムが温存され、また同じ過ちを
 繰り返す可能性が高いと判断されれば謝罪しない

・イエロージャーナリズムよろしく
 ワイドショーなどで感情的に流されているコメンテーターが散見される
 異文化を理解してあえてそうしているのか、それとも
 単に感情的になって発言しているのか、わからない
 民間人を乗せたアメリカの原潜事故について、
 その背景を明らかにして責任を追及することは難しいと考えられる
 なぜ浮上しなければならなかったか
 なぜ民間人を乗せなければならなかったか
 なぜえひめ丸から離れることができなかったか
 など、単純な原因ではない(艦長1人の権限でどうにかなる状況ではない)ことが
 わかりそうなものだが、艦長への謝罪を要求する理由がわからない
 日本的な意味での謝罪は、既になされたと考えてよいのではないか

・証人喚問の問題点
 KSD事件の証人喚問にて、村上が刑事訴追を理由に証言を拒否したが、
 それが正当な理由にあたるかどうか、後に理事会で審査となった。
 委員長がその場で判断できない、どういう法的枠組みで
 証言を求めているか理解できていない、という状況が問題
 事実が何も明らかにならず、成果もないのに、禊、手打ちとしての
 イベント、お祭りのような機能しか果たしていない
 証人喚問の制度を見直すことが必要ではないか
 (例えば、アメリカNTSB法のような免責制度など)
 質問者がマスコミ報道を引用、参照することがあるが、
 これは警察、検察のリーク情報であって、信頼性がない
 捜査一課長など、現場責任者からの情報をもとに質問をしても信憑性に欠ける

アメリカの免責制度の例
 アメリ運輸安全委員会(NTSB)の事故調査制度では、
 航空機事故などは関係当事者参加の上で調査が実施され、
 その証言は民事上免責となり、調査で得た証拠も民事訴訟の証拠とならない
 その代わり、調査の報告書は容易に閲覧、入手できるため、
 訴訟の際は、その報告書に従って主張し、証人の申請、尋問をすれば、
 報告書と同様の結果を得ることができる、と言われる。

・第三項排除の弊害
 スケープゴートが共同体の排泄するすべてのけがれを吸収し、
 それを排除することで集団の調和と秩序を強化する
 謝罪を強要し、スケープゴートをバッシングして内部の結束を固める
 不祥事の際に生け贄を差し出して民衆の留飲を下げる
 この図式が繰り返されていて、実効性のある対策がなされない

・愚民視
 記者クラブ制度、再販制度廃止に対する反論として、
 イエロージャーナリズムよろしく書いたものが売れて、
 真面目な報道が売れなくなる、というロジックだが、
 それは、読者をバカにしていると受け取るべき
 同じ理屈で学生投票による大学の講義、教員の評価制度導入にも
 反対意見が出るが、これも学生をバカにしている
 要するに既存のメディアや教員に自信がないだけ
 本当に読者や学生の利益を考えたものであれば、必ず支持される
 アメリカでは議会のテレビ放送を公開した時に
 人気取りのパフォーマンスが流行ったが、
 長続きせず有権者リテラシーが上がった
 一時的にパフォーマンスだけの議員が当選し、
 有権者にとって不利益な政策が横行するリスクはあるが、
 そのリスクを回避していては、いつまでも変わらない
 それは乗り越えなければならない課題だ
 今後、インターネットを通じて、政策の実効性を容易に知ることができ、
 規則権益を超えて、面従腹背で投票行動を変える、
 動員ではなく、政策の内容で選ぶ人が増えることを期待する

・外国人への差別意識
 KSD問題で小山孝雄参院議員は、
 中小企業が労働力として外国人を雇用したかったため、
 外国人労働者技能実習制度の日本国内滞在期間を
 2年から3年へ延長するように質問した。
 技能実習制度は海外から来た単純労働者によって
 移民国家となることを嫌った政府の規制であり、
 ここでも規制が巨大な利権を生んでいる
 日本では異文化排除の風習・文化がある
 そのほとんどが合理性のない不安から拒絶している
 今後、外国人労働者流入が必要となる日本において、
 今が文化の摩擦を低減する練習期間と考えるべき

<書籍・映画>
なし

<所感> 2024年1月8日
 今回も、事件や判決を調べることに時間がかかり、まだ第3回なのに
 先は長い、と感じているとともに、今まで自分がどれだけ時事問題に
 関心がなく、無知だったのか思い知らされている。
 おかげで、今話題の「令和のリクルート事件」にもついていけそうである。

印象的な文言は、
面従腹背」「イエロージャーナリズム」
第三項排除」「スケープゴート」「禊」
対内道徳・対外道徳(二重道徳)