備忘録

マル激全アーカイブス視聴を目指して

#0010_010511_複雑化社会の偏向報道と矛盾 (地雷とダイヤ)

#0010_2001年5月11日
外務省腐敗、個人情報保護法、いったいどこに問題があるのか


個人情報保護法
 官僚主導の法案で、議員側にほとんど見識がなく、
 官僚の説明を鵜呑みにする形で世論形成がされている
 ロビー活動での押し戻しが難しく、メディアでの指摘が必要
 対して、青少年社会環境対策基本法は、議員立法のため、
 ロビー活動しやすく、自民党 大島議員、民主党 水島議員などと
 話をして、慎重に進められている
 

田中真紀子と外務省の報道について
 NHKで”次官と審議官が大臣室に出入り禁止”と報じられた
 いい年をしたおじさん、おじいさんが部屋に入れない、
 というのは何なのか
 田中真紀子と外務省のバトルについて、
 この問題は田中の妥当性と、メディア報道の2つに分けられる
 メディア報道は、官僚サイドと田中サイドの2つあり、
 官僚サイドの報道は、読売新聞で、田中の資質の問題視、
 田中サイドの報道は、東京新聞朝日新聞で、外務省の腐敗
 どういうメディアに接触するかで、ものの見え方が変わってしまう

 今、田中真紀子が外務省の改革を断行しなければ、国益にかかわる
 外務省へのイメージ、特権階級やエリートといった国民の意識が
 揺らぐことは良いことである
 こういう外圧がないと、外務省、官僚組織の改革ができない
 一時的に、外交的な失礼があったとしても、さして問題ではない

 読売は田中真紀子衆院予算委で機密費問題に対して、
 苦しい答弁をしたくないから、関係者の処分を済ませたい
 自分の面目のためにやっている、と報じた
 が、これは当然のことである。
 説明をつけることは行政のチーフとして当たり前のことで、
 それをポピュリズムであるかのように報じる読売新聞は
 デスクレベルでダメな新聞である
 自民党内で改革を進めたとしたら、派閥対立の側面はある
 どちらがメインで、どちらがサブか、きちんとメディアが
 報じる必要がある

 もともとはサミットの十万食のお弁当に、
 なぜか北海道の業者が入っていた
 わざわざ目玉焼きを北海道で冷凍にして、
 東京で溶かして、沖縄に運んだ
 これは、鈴木宗男が関与したと言われていて、
 松尾という口座に何億円も振り込まれていたという

・会計課長に対するの入院命令
 命令を下した人物は国家公務員法違反、処分対象である
 外務省が自らの外交機密に関わる利権を守るために、
 国家公務員法に違反して、触法行為を行っている
 病院に入れて、気が付いたら退院、大臣に断りなく、
 もうイギリスに行ってしまった、とのこと
 大臣は「あんたらの金で呼び戻せ」と言う
 病院に隠して、大臣の日程の中で忙しい時を狙って退院させ、
 海外へ行かせた、という顛末だろう
 要は、昔からこういうことをやっているということ

・各メディアの論調
 外務省担当記者の力関係が読み取れる
 読売新聞では、官僚寄りの記事が出た
 外務省担当部門が力を持っているだろう
 東京新聞は外務省部門の力が弱くて、
 外務省の記者から上がってきた原稿を
 編集長、デスクレベル、政治部長レベルで、
 永田町などの記事を混ぜて、外務省側の色彩が弱まっている

朝日新聞社内での対人地雷問題
 記者の力関係で、出てくる記事の内容が変わる
 地雷問題は防衛庁管轄で、朝日新聞では、
 防衛庁は社内のシニア記者の管轄であり、
 それまで国内防衛のための地雷の有用性を延々と書いていた
 3年前、反地雷運動が盛んになった当時、
 社会部の若手の女性記者は反地雷のNGOを取材したかったが、
 同じ朝日の防衛庁の記者から隠れて取材しなければならなかった
 この現場の力関係のせいで、朝日新聞からは反地雷のNGO側の
 視点がほとんど書かれなかった

ポピュリズムでの対抗
 結局、現場の力関係が、要は最終的な結果としては、
 役所の言い分を官報よろしく垂れ流す
 それを放置することによって、マスコミの第四の権力
 行政に対するチェックという、期待される機能を果たせなくなる
 田中真紀子をある意味で弁護、応援したいのは、
 ロジックというよりは具体的な戦略としてポピュリズムしかない
 マスコミと行政の利権がほぼ重なる状況を何とかしないといけない

・外交機密費問題の決着
 システムを変えるのは人
 一人の人間の振る舞いでフレームが揺らぐ
 個人プレイヤーがどう振舞うかによって、ゲームの中身が、
 あるいは、ゲームのルールが変わってくる、
 そういう可能性があることを国民に思わせたのは功績である
 長期的に見て、後発の議員の動機づけに役立つことになるだろう

個人情報保護法の問題点
 報道の定義、範疇と、報道機関か個人か
 フリーランス、雑誌は報道機関に入らないなど
 今まで見落としていたこととして、
 個人情報の取り扱い者に、行政や政府機関が含まれていない
 別途、法律による、とされているが
 法律がないので事実上、言及がない

 既存先進各国の個人情報に関する法律では、
 行政の持つ情報に対して、どうチェックするかに主観がある
 行政は強制的に情報を収集することができて、
 公的サービスと称して、それを利用することができる
 だから、行政のチェックは民間のチェックより重要になる
 こういう常識化した観点が抜けている

 もともと、3年前、盗聴法のときにも話題に挙がったが、
 当初は、公権力が持っている情報を個人がチェックする
 自己情報訂正権を認めさせる、という内容に焦点があった
 その後、IT戦略会議など、個人情報の取り扱いに議論が移り、
 IT関連法案となってしまった
 今では、公権力のチェックを全く度外視した形で、
 インターネット業者、通信業者、金融機関などの
 情報の取り扱いについてのみ、論じられるようになった
 実は、フレームがずれてしまっている
 まずは、行政をチェックするのか、民間をチェックするのか、
 という二項対立があり、優先順位は行政、民間の順で、
 次に、民間には何が含まれるか、という定義問題が発生する
 民間の中に報道が入る、となれば、民間を規制することによって
 公権力に対するチェックのフリーハンドが1つ消える、
 ということになる
 
 要は、行政権力から我々民衆の側の利益を保護するという観点で
 公権力をチェックする、という話から、
 非常に定義の不確かな”民間”に対して網を被せることで
 国民ではなく行政に奉仕する法律になっている
 この根本的なフレームの問題に「おかしいじゃないか」という
 感受性を抱けないと、思うつぼである
 このフレームの中で、報道の範囲をどうするか、
 機関と個人の違いをどうするか、と言っている以上は
 官僚の思惑通りである 

・我々にとっての個人情報保護法
 世論として、この法律に対する問題意識が薄いのはなぜか
 青少年有害環境基本法については、暴力、性描写の有害性について、
 安易に規制に賛成してしまうのは、わからなくもない
 保護法については、メリットとしては、
 ダイレクトメールが来なくなる、程度のことでしかないのに、
 一方で、警察権力による個人に対する情報開示要求に抗えない、
 というリスクが度外視されているように思う
 この法律はおかしい、とならないのはなぜか

 盗聴法の時と状況が似ている
 当時は、オウム事件から、組織犯罪に対抗する必要がある、
 となって、その法律の問題点が度外視されて、世論が流された
 この時と同じようなフレームの巧妙なすり替え起こっている

報道被害について
 法務省の方では、人権問題の審議会で、
 報道被害救済の政府系独立機関を作るべき、という議論があり、
 現在、中間とりまとめの段階にある
 これは、個人情報保護の観点の外で、従来議論されてきたので、
 その範囲の中で決着すればよい
 これについては、映倫青少年委員会、BROなどの
 自主規制機関でいくか、
 行政の機関でいくのか、といった様々な問題があるのだが、
 個人情報保護は別の問題

 中川官房長官についてのスキャンダル報道が発端となり、
 個人情報保護法で網を掛けられないか、という議論が出た
 法案作成にも大きな影響を与えた可能性があり、
 フレームが変わったのでは

・メディアへの不信感
 保護法については、各メディアが報じているが、
 世論が反応しないのはなぜか

 本当は2つの意味を持つものが、一方だけ強く報じられている
 例えば、盗聴法のように、組織犯罪から国民を守るため、
 という謳い文句で、行政の個人に対する濫用が覆い隠される
 保護法も、同じく、国民の個人情報リストを名簿業者から守るため、
 という謳い文句で、対個人の権力濫用のチェック機構がない
 盗聴法はオウム事件、保護法はメディアへの不信感から
 覆い隠されている

・メディア自業自得の世論形成
 社会環境対策基本法では、
 有害コミックの青少年への悪影響を報じていたメディアが、
 自分たちの性的描写について問われた
 盗聴法では、行き過ぎたスキャンダルの取材、都合報道から、
 国民の不安が煽られた
 保護法でも、メディアの公正な取材手続きがなされておらず、
 報道被害が拡大したために、世論が傾いた

・地雷報道問題
 視聴率のための喜怒哀楽報道が多い
 例えば、TBSの地雷報道では、現地に女性タレントを放り込んで
 悲惨な現状を報道する。その一方で、ダイヤモンドのCMを流す。
 地雷原であるアンゴラでは、コンゴ沿いのダイヤモンドが
 UNITAというゲリラの資金源になっている
 TBSはそのダイヤモンドを仕切っている企業のCMを流す

・携帯電話の弊害
 本当は両立しない議論、正確にいうと、
 何かの条件付きでのみ両立しうる議論がある

 例えば、携帯電話の費用工面、
 子供の使用料を親が負担する、または援助交際で工面する、
 さらに、出会い系サイトの弊害が問題として報じられる
 その一方で、景気対策としてIT革命進める
 若者の携帯依存とITによる経済対策は両立しない問題なので、
 本当なら、若者に対してどのように手当てをしたうえで、
 景気回復、IT革命を進めるか、議論されるべき、
 しかし、メディアが分かりやすく感情に訴える報道しか
 しないため、覆い隠される

 社会が複雑になっているため、あちらを立てればこちらが立たず、
 どちらかを対策すると、もう一方がないがしろになる
 メディアはこういう構造にまで切り込んで、
 自分たちで考えて選択しなければならない
 簡単に言えば、都合の悪い決断を迫るような報道をするべき

 例えば、通信がらみのIT需要が落ちても、
 社会的な公正さが守られるほうが重要だ、
 あるいは、ルールが守られることによって
 景気回復が遅れてもやむなし、など

 痛みのない改革はない、
 我々民間の問題についても、様々な問題が絡み合っているため、
 これだけ良くする、ということができない

・メディアの喜怒哀楽報道
 今では、どんな内容に興味が集まって視聴率をとれるか、
 という観点からのみ、放送番組が制作されている
 放送業界の若手は入社した瞬間から、
 この論理の中にいて、これしか知らない
 こういう考え方しかできない世代となっている

 例えば、夜の12時から2時台は、数字をとる為ならば、
 F1をターゲットに何をやってもいい、
 あるいは、深夜帯にショップチャンネル
 放送していることが、特に驚きでもない世代がほとんどである
 夜中にパンチらを見せることで数字をとる、
 ということが恥ずかしい、と感じる若手はいない

 ただし、40代もしくはそれ以上のNHK、または民放の
 関係者の中には、マル激の視聴を周りに勧める人もいる

・マスコミの腐敗
 マスコミと金融が腐ると政治も民間経済も腐る
 マル激の放送内容が必要とされるのはメディア内部の人
 メディアが政府、行政をチェックできない
 根本的な問題にメスを入れて、うまくこれを処理するように
 官僚や政治家を動機づけるような機能を果たしていない
 バブルの時には銀行をチェックしていなかった
 当時マスコミは銀行経営の実態を取材していたが、むしろ持ち上げた

 三権分立論などと同じように、人間はエゴイズムの生き物なので、
 エゴイズムになるなと言っても、社会は良くならない
 エゴイズムに基づく、お互いのチェック機構、オリエンテーション
 どう築くのか、知恵を働かせないと良くならない
 政府はメディアがチェックする、メディアは何かがチェックする、
 といったようなチェック機能を設けなければならない

・メディアの集中排除原則の失敗
 欧米では禁止されているが、日本では新聞社がテレビ局を持っている
 新聞、テレビがお互いに問題のある構造を報道することができない
 相互批判ができない
 これからインターネットにも席巻してくる可能性がある
 再販制度は、テレビには関係ないはずなのに、
 クロスオーナーシップのせいで、新聞を批判できない

EUの歯止め
 イタリアではシチリアマフィアの違法なメディア支配がある
 しかし、EUのメンバーであり続けるためには、ある種の
 チェック機構が必要となるため、この支配に歯止めがかかる
 日本にはこうした仕組みがない
 集中排除原則に従わない場合の目に見える不利益がない


<書籍・映画>
 なし

<所感>  2024年2月12日
 深夜帯のショップチャンネルに違和感を覚えない世代、というのは
 当たっている。私の個人的主観での"公意識"は、就職当時では、
 「パチンコみたいな業種には行きたくないよなぁ」という程度で、
 今のように、買い物は国産メーカー適正価格、など思ったことはなかった

 印象的な文言特になし

#0010_010511_メモ・補足

#0010_2001年5月11日
外務省腐敗、個人情報保護法、いったいどこに問題があるのか


個人情報保護法
 青少年社会環境対策基本法は、議員立法のため、
 ロビー活動しやすく、自民党 大島議員、民主党 水島議員と話をして、
 突っ走って行くことはない
 個人情報保護法は官僚主導で、議員にはほとんど見識がなく、
 官僚の説明を鵜呑みにする形で国会内での世論形成がなされてきている
 ロビー活動での押し戻しは難しい、メディアで法律の問題点を指摘しないとまずい

田中真紀子と外務省の報道について
 NHKのニュースで”次官と審議官が大臣室に出入り禁止”と報じられている
 いい年をしたおじさん、おじいさんが部屋に入れない、というのは何なのか
 田中真紀子と外務省のバトルについて、
 田中の妥当性と、メディア報道の2つに分けられる
 メディア報道は2つに分かれる
 官僚サイドに立った「田中の外務大臣としての適格性に対する疑問視」と
 田中サイドに立った「田中の主張」とで分かれた
 官僚サイドの報道は、読売新聞、
 田中サイドの報道は、東京新聞朝日新聞
 どういうメディアに接触するかで、ものの見え方が変わってしまう

 無理やり上司からの命令で入院させられて、という恐るべきニュースが飛び出た
 こうした、機密費どころではない外務省の腐敗を浄化しなければならない
 今、田中真紀子が外務省の改革を断行しなければ、国益にかかわる
 従来の外務省への国民のフレーム、イメージが揺らぐことは良いことである
 田中の活動で特権階級、エリートといったイメージが地に落ちることは大きな功績
 こういう外圧がないと、外務省、官僚組織の改革ができない
 一時的に、外交的な失礼があったとしても、さして問題ではない

 これから、外務官僚が田中の足を引っ張るだろう
 そして、それにメディアが乗っかるだろう
 もともと機密費だったが、野中と近い鈴木宗男
 外務省への影響力が強く、人事を握っていた
 
 読売は田中真紀子衆議院予算委員会で機密費問題に対して、
 苦しい答弁をしたくない、だからそれまでに関係者の処分を済ませたい
 自分の面目のためにやっている、と報じた
 が、これは当然のことである。
 説明をつけることは行政のチーフとして当たり前のことで、
 それをポピュリズムであるかのように報じる読売新聞はダメな新聞である
 デスクレベルでチェックできないのは、あきれる

 派閥、という側面もあるが、田中でなくとも、誰でも
 自民党内で改革を進めたとしたら、派閥対立の側面はある
 どちらがメインで、どちらがサブか、きちんとメディアが報じる必要がある

 もともとはサミットの十万食かなんかのお弁当に、なぜか北海道が入っていた
 わざわざ目玉焼きを北海道で冷凍にして、東京で溶かして、沖縄に運んだ
 これは、鈴木宗男が関与したと言われていて、
 松尾という口座に何億円も振り込まれていたという

・会計課長に対するの入院命令
 命令を下した人は国家公務員法違反、処分対象である
 なぜ、そのような命令をしたかは、外務省の機密費問題に直結する
 外務省が自らの外交機密に関わる利権を守るために、
 国家公務員法に違反して、触法行為を行っている
 病院に入れてしまって、気が付いたら、病院から出てきて
 大臣に断りなく、もうイギリスに行ってしまった
 大臣は何を言ったかと思えば、「あんたらの金で呼び戻せ」と言う
 病院に隠して、大臣の日程を調べて、忙しい時を狙って退院させ、
 海外へ行かせた、という顛末だろう
 要は、昔からこういうことをやっているということ

・各メディアの論調
 外務省担当記者の力関係が読み取れる
 官僚、外務省寄りの記事が出た読売は
 外務省担当部門が力を持っているだろう
 東京新聞は外務省部門の力が弱くて、
 外務省の記者から上がってきた原稿を
 編集長、デスクレベル、政治部長レベルで、
 永田町などの記事を混ぜて、外務省側の色彩が弱まっている

朝日新聞社内での対人地雷問題
 記者の力関係で、出てくる記事の内容が変わる
 縄張りとしては防衛庁で、3年前、時代的には、
 ICBLやダイアナ妃などが反地雷で盛り上がっていた
 朝日新聞では、防衛庁は社内のシニア記者の管轄であり、
 それまで国内防衛のための地雷の有用性を延々と書いていた
 当時、社会部の若手の女性記者は反地雷のNGOを取材したかったが、
 同じ社内の防衛庁の記者から隠れて取材しなければならなかった
 この現場の力関係のせいで、朝日新聞からは反地雷のNGO側の
 視点がほとんど書かれなかった

ポピュリズムでの対抗
 結局、現場の力関係が、要は最終的な結果としては、
 役所の言い分を官報よろしく垂れ流す
 それを放置することによって、マスコミの第四の権力
 行政に対するチェックという、期待される機能を果たせなくなる
 田中真紀子をある意味で弁護、応援したいのは、
 ロジックというよりは具体的な戦略としてポピュリズムしかない
 マスコミと行政の利権がほぼ重なる状況を何とかしないといけない

・外交機密費問題の決着
 システムを変えるのは人
 一人の人間の振る舞いでフレームが揺らぐ
 個人プレイヤーがどう振舞うかによって、ゲームの中身が、
 あるいは、ゲームのルールが変わってくるんだ、そういう可能性が
 あるんだ、という風に国民に思わせたのは功績である
 長期的に見て、後発の議員の動機づけに役立つことになるだろう

個人情報保護法の問題点
 報道の定義、範疇と、報道機関か個人か
 フリーランス、雑誌は報道機関に入らないなど
 今まで見落としていたこととして、
 個人情報の取り扱い者に、行政や政府機関が含まれていない
 別途、法律による、とされているが法律がないので事実上、言及がない
 
 既存の先進各国の個人情報に関する法律では、
 行政の持っている情報に対して、どうチェックするのかに主観がある
 行政は強制的に情報を収集することができて、公的サービスと称して
 その情報を利用することができる
 だから、行政のチェックは民間のチェックより重要になる
 こういう常識化した観点が抜けている
 
 もともと、3年前、盗聴法のときにも話題に挙がったが、
 当初は、公権力が持っている情報を個人がチェックする
 自己情報訂正権を認めさせる、といったような内容に焦点があった
 その後、IT戦略会議などに個人情報の取り扱いの議論が移ってしまい
 IT関連法案となってしまった
 今では、公権力のチェックを全く度外視した形で、
 インターネット業者、通信業者、金融機関などの
 情報の取り扱いについてのみ、論じられるようになった
 実は、フレームがずれてしまっている
 行政をチェックするのか、民間をチェックするのか、という二項対立があり、
 優先順位は行政が高い、次に民間
 そして、民間には何が含まれるか、という定義問題が発生する
 民間の中に報道が入る、となれば、民間を規制することによって
 公権力に対するチェックのフリーハンドが1つ消える、ということになる
 
 要は、行政権力から我々民衆の側の利益を保護するという観点から
 公権力をチェックする、という話から、非常に定義の不確かな”民間”に
 対して網を被せることを通じて、国民ではなく行政に奉仕する法律になっている
 この根本的なフレームの問題に「おかしいじゃないか」という感受性を抱けないと、
 そのフレームの中で、報道の範囲をどうするか、機関と個人の違いをどうするか、
 といっているようでは思うつぼである 

・我々にとっての個人情報保護法
 世論として、この法律に対する問題意識が薄いのはなぜか
 青少年有害環境基本法については、暴力、性描写の有害性について、
 安易に規制に賛成してしまうのは、わからなくもない
 保護法については、メリットとしては、ダイレクトメールが来なくなる、
 程度のことでしかないはずなのに、一方で、
 警察権力による個人に対する情報開示要求に抗えない、
 というリスクが度外視されているように思う
 この法律はおかしい、とならないのはなぜか
 
 盗聴法の時と状況が似ている
 当時は、オウム真理教の事件から、組織犯罪に対抗する必要がある、
 となって、その法律の問題点が度外視されて、世論が流された
 この時と同じようなフレームの巧妙なすり替え起こっている

報道被害について
 法務省の方では、人権問題の審議会で、
 報道被害の救済に関して、政府系の独立した機関を作るべき、という
 話が進められており、中間とりまとめの段階にある
 これは、個人情報保護の観点の外で、従来議論されてきたので、
 その範囲の中で決着すればよい
 これについては、映倫青少年委員会、BROなどの自主規制機関でいくか、
 行政の機関でいくのか、といった様々な問題があるのだが、
 個人情報保護は別の問題

 中川官房長官についてのスキャンダル報道が発端となり、
 個人情報保護法で網を掛けられないか、という議論が出た
 法案作成にも大きな影響を与えた可能性があり、フレームが変わったのでは

・メディアへの不信感
 保護法については、各メディアが報じているが、
 世論が反応しないのはなぜか
 本当は2つの意味を持つものが、一方だけ強く報じられている
 例えば、盗聴法のように、組織犯罪から国民を守るため、
 という謳い文句で、行政の個人に対する濫用が覆い隠される
 保護法も、同じく、国民の個人情報リストを名簿業者から守るため、
 という謳い文句で、対個人の権力濫用のチェック機構がない
 盗聴法はオウム事件、保護法はメディアへの不信感から
 覆い隠されている

・メディア自業自得の世論形成
 社会環境対策基本法では、有害コミックの青少年への悪影響を
 報じていたメディアが、自分たちの性的描写について問われた
 盗聴法では、行き過ぎたスキャンダルの取材、都合報道から、
 国民の不安が煽られた
 保護法でも、メディアの公正な取材手続きがなされておらず、
 報道被害が拡大したために、世論が傾いた

・地雷報道問題
 視聴率のための喜怒哀楽報道が多い
 例えば、TBSの地雷報道では、現地に女性タレントを放り込んで
 悲惨な現状を報道する。その一方で、ダイヤモンドのCMを流す。
 地雷原であるアンゴラでは、コンゴ沿いのダイヤモンドが
 UNITAというゲリラの資金源になっている
 TBSはそのダイヤモンドを仕切っている企業のCMを流す

・携帯電話の弊害
 本当は両立しない議論、正確にいうと、
 何かの条件付きでのみ両立しうる議論がある
 例えば、携帯電話の費用工面、
 子供の使用料を親が負担する、または援助交際で工面する、
 さらに、出会い系サイトの弊害が問題として報じられる
 その一方で、景気対策としてIT革命進める
 若者の携帯電話依存と経済対策は両立しない問題であるので、
 本当なら、若者に対してどのように手当てをしたうえで、
 景気回復、IT革命を進めるか、議論されるべきだが、
 メディアが分かりやすく感情に訴える報道をするため、
 覆い隠される
 社会が複雑になっているため、あちらを立てればこちらが立たず、
 どちらかを対策すると、もう一方がないがしろになる
 メディアがこういう構造にまで切り込んで、自分たちで考えて、
 選択しなければならない
 簡単に言えば、都合の悪い決断を迫るような報道をするべき
 例えば、通信がらみのIT需要が落ちても、社会的な公正さが
 守られるほうが重要だ、ルールが守られることによって
 景気回復が遅れてもやむなし、など

 痛みのない改革はない、
 我々民間の問題についても、様々なものが絡み合っているため、
 これだけ良くする、ということができない

・メディアの喜怒哀楽報道
 今では、どんな内容に興味が集まって視聴率をとれるか、
 という観点から放送番組が制作され、放送業界の若手は
 入った瞬間から、このような論理の中にいて、これしか知らない
 こういう考え方しかできない世代がいる
 例えば、夜の12時から2時台は、数字をとる為ならば、F1を
 ターゲットに何をやってもいい、あるいは、深夜帯にショップチャンネル
 放送していることが、特に驚きでもない世代がほとんどである
 夜中にパンチらを見せることで数字をとる、ということが恥ずかしい、
 と感じる若手はいない
 が、40代もしくはそれ以上のNHK、または民放に勤める人の中には、
 マル激の視聴を周りに勧める人もいる

・マスコミの腐敗
 マスコミと金融が腐ると政治も民間経済も腐る
 マル激の放送内容が必要とされるのはメディア内部の人
 メディアが政府、行政をチェックできない
 根本的な問題にメスを入れて、うまくこれを処理するように
 官僚や政治家を動機づけるような機能を果たしていない
 バブルの時に銀行をチェックしていなかった
 当時マスコミは銀行経営の実態を取材していたが、むしろ持ち上げた
 三権分立論などと同じように、人間はエゴイズムの生き物なので、
 エゴイズムになるなと言っても、社会は良くならない
 エゴイズムに基づく、お互いのチェック機構、オリエンテーション
 どう築くのか、知恵を働かせないと良くならない
 政府はメディアがチェックする、メディアは何かがチェックする、
 といったようなチェック機能を設けなければならない

・メディアの集中排除原則の失敗
 欧米では禁止されているが、日本では新聞社がテレビ局を持っている
 新聞、テレビがお互いに問題のある構造を報道することができない
 相互批判ができない
 これからインターネットにも席巻してくる可能性がある
 再販制度は、テレビには関係ないが、クロスオーナーシップのせいで、
 新聞を批判できない

EUの歯止め
 イタリアではシチリアマフィアの違法なメディア支配がある
 しかし、EUのメンバーであり続けるためには、ある種の
 チェック機構が必要となるため、この支配に歯止めがかかる
 日本にはこうした仕組みがない
 集中排除原則に従わない場合の目に見える不利益がない


映倫 (1949年~)
 一般財団法人映画倫理機構
 (Film Classification and Rating Organization)
 主に映画作品の内容を審査し、レイティング設定を行う日本の
 一般財団法人。略称は映倫(えいりん)。
 1949年に設立された映画倫理規程管理委員会(旧映倫)を基礎に、
 1956年に新たに設立された映画倫理管理委員会(新映倫)、
 新映倫を2009年に改称した任意団体・映画倫理委員会を前身とし、
 2017年に設立された。

 以下、映倫ホームページより、
 映画倫理機構映倫)は表現の自由を護り、青少年の健全な育成を
 目的として映画界が自主的に設立した第三者機関です。
 映倫は映画が観客や社会に与える影響の大きさを自覚し、
 法や社会倫理に反し、とりわけ未成年者の観覧につき問題を
 生じうる映画については社会通念と映画倫理諸規程に従って、
 自主的に審査しております。
 また映画製作者が外部からの干渉を排除して自由に製作できる環境を
 作るとともに、観客の見る自由を保障し、さらに、次世代を担う未成年者が
 その成長に際し対応を誤ることのないよう配慮しています。

青少年委員会
 市町村・特別区等、基礎自治体における教育委員会の下部機関のひとつ
 狭義には、東京都が区市町村に対して導入した独自の制度で、
 委員は青少年の健全育成と非行防止のために行政と地域のパイプ役に
 なることが期待されている。

*BRO
 放送倫理・番組向上機構
 Broadcasting Ethics & Program Improvement Organization の前身
 1997年5月、NHKと民放連が設置した組織
 『放送と人権等権利に関する委員会機構』(略称:BRO)
 BROのもとに第三者の「放送と人権等権利に関する委員会」(略称:BRC)が
 置かれた。
 2003年7月、放送倫理・番組向上機構BPO)に改組

*F1 (視聴率)
 視聴者を性別、年齢や職業などの特性で区分けし、
 区分ごとに視聴率を計算する方法の区分
 C       男女4〜12歳
 T        男女13〜19歳
 M1     男性20〜34歳
 M2     男性35〜49歳
 M3     男性50歳以上
 F1      女性20〜34歳
 F2      女性35〜49歳
 F3      女性50歳以上
 ※C:Child, T:Teen, M:Male, F:Femaleの意
  1は20~34歳、2は35~49歳、3は50歳以上を意味する

*マスメディア集中排除原則
 同じ都道府県内の地上波放送局(テレビ局、ラジオ局)について、
 同じ者が複数の局の株式を同時に10%以上保有してはならないとされる。
  別の都道府県にある放送局についても、複数の局で同時に20%以上の
 株式を保有してはならない。
 特定の事業者が多数の放送局を支配することを制限する規則。
 放送法・電波法に明記された、「放送をすることができる機会をできるだけ
 多くの者に対し確保することにより、放送による表現の自由ができるだけ
 多くの者によって享有されるようにする」ことを目的とする。
 放送メディアの多様化や経営環境の変化などに伴い、
 規制の緩和が進められている。

クロスメディア所有
 同一の資本が同時期に同地域で新聞社やテレビ・ラジオ放送局など
 複数のメディアを支配すること。日本では、電波法により
 新聞・ラジオ・テレビの3事業支配が原則として禁止されている。

クロスオーナーシップ
 メディアにおけるクロスオーナーシップ(相互所有)とは、
 新聞社が放送業に資本参加するなど、特定資本(特定企業など)が
 多数のメディアを傘下にして影響を及ぼすことをいう。
 各国の法律により、規制されているケース(集中排除原則)がある。
 これは、言論の自由と多様性を保障するためには、より多くの者が
 メディアに参画する機会を与えられることが必要だからである。

 本来、集中排除原則の観点から、新聞業と放送業など
 メディア同士は距離を持つべきとされる。
 しかし、日本では1953年に民放テレビ初の日本テレビからこの傾向がある。
 同局は読売新聞の支配下にあり、経営面、放送内容などに読売新聞の
 意向が極度に反映されることとなった。さらに当時の読売新聞オーナーで
 日本テレビの初代社長、正力松太郎自由民主党政権と近く、
 多くのテレビ局が新聞社の子会社として設立される方式を確立していった。
 一般に、テレビ局が新聞社の系列の元に縦割りとなった原因は、
 1975年に行われたTBS(毎日新聞)の系列だった朝日放送朝日新聞系)と、
 日本教育テレビ(現テレビ朝日)の系列だった毎日放送毎日新聞)との
 ネットチェンジ(腸捻転解消)だとされる。
 これによりキー局と地方局、新聞社の関係が同系列で整理された。
 また、テレビ放送が大都市圏から日本全国に拡大する過程で、
 ローカル局も新聞社・キー局の出先機関と化した。
 ローカル局は各県に複数設立されたが、県単位での
 クロスオーナーシップが各地で成立していった。
 これは1940年代前半の戦時統合で成立した「一県一紙」の地方紙が
 他を圧する取材網を持ち、新規テレビ局は、その地方紙に依存した方が
 取材の容易さやコストなどの点でも有利な背景があった

 現在では、建前上は独立企業である放送局(特にローカル局)も一種の
 子会社レベルの存在意義である現状である。
 しかも、クロスオーナーシップの影響で、”新聞社 > キー局 > ローカル局
 という力関係ができ、新聞・テレビともお互い方針に逆らいにくい、
 という弊害が出ている。

 日本においてクロスオーナーシップを制限する規定としては、
 放送局に係る表現の自由享有基準(2008年3月, 総務省令)があるが、
 これには特例が認められているため、複数のテレビ・ラジオ局がある地域で
 一つのメディアグループがこのテレビ・ラジオ・新聞、3つの媒体を
 すべて所有する事は事実上妨げられない。
 そのため、フジ・メディア・ホールディングスが、
 フジテレビ・ニッポン放送産経新聞を、
 日本経済新聞社テレビ東京・日経ラジオ(短波放送ラジオ局)を
 所有する事が可能となっていた。

 日本では「クロスオーナーシップ」が温存されているが、
 2009年9月に成立した鳩山内閣原口一博総務大臣民主党)が
 2010年1月、文化通信社のインタビューや、外国特派員協会での会見で
 「クロスオーナーシップ」禁止の法制化を行うと発言した。
 しかし、これに対し各新聞社は強く反発し、日本新聞協会は
 クロスメディア規制の撤廃を求める意見書を総務省へ提出した。
 原口総務相はこれを押し切り、放送法や電波法などの改正法案が
 閣議決定されたが、2010年6月に鳩山政権は総辞職、菅内閣が成立し、
 法制化は目処が立たなくなった。
 後任の片山善博クロスオーナーシップ規制の見直し条項を削除したため、
 改正放送法ではクロスオーナーシップ規制の強化が見送られた。
 さらに2015年の改正放送法によって、
 メディア企業の経営力強化を目的とする場合には、
 グループ内の複数メディア企業で役員が兼務できるよう規制を緩和している。

 現在の資本関係
 読売新聞グループ本社
  - 日本テレビホールディングス(22.82%保有)および日本テレビ系列局
    日本テレビアール・エフ・ラジオ日本を45.26%所有
 朝日新聞社
  - テレビ朝日ホールディングス(24.7%保有)およびテレビ朝日系列局
   (東京以外全部でラジオ・テレビ兼営)
 日本経済新聞社
  - テレビ東京ホールディングス(33.3%保有)およびテレビ東京系列局、
   日経ラジオ社(19.93%保有
 フジ・メディア・ホールディングス
  - フジテレビジョン(100%保有)および系列局、
    ニッポン放送(100%を保有)、産業経済新聞社(40.0%保有
 TBSホールディングスはかつて毎日新聞社が大株主であり、
 現在も役員を相互派遣している。


#0009_010427_小泉政権誕生とその展望-

#0009_2001年4月27日
小泉政権誕生とその展望-


・小泉新政権の誕生
 自民党内では小泉政権誕生で、自民党支持に戻った人が6割台半ば
 街頭インタビュー(100人)では、7割台が小泉支持
 これは相当な支持率で弱った
 小泉政権誕生で、何が実際に起こったのかを検討せず、
 ガス抜きされてしまうのではないか

・今後の小泉政権はどうなる
 小泉は、政権が取れる、と予想した時からシュリンクした
 自分が勝てるかわからない時には、不良債権、失業者手当など、
 野党も巻き込んだような論調で攻めていたが、
 自民党内で勝てる見込みがたってからは、トーンダウンした
 権力をとれない、と思っている時と、
 権力をとれると見込みがついた時とで、言動が変わる

・派閥政治は悪いものか
 政策集団、勉強会としての派閥は有意義なものであるが、
 既得権益を各派閥でどう分配するか、といった意味での派閥は不要
 最近の小泉演説は、
 自民党だけが日本を支えられます、自民党を変えられるのは自分です、
 といううたい文句だが、自民党を変えて看板を維持することに何の意味があるのか
 つまり、戦後体制の中で、既得権益を配分するシステムを持った政党、
 配分のシステムを失った自民党とは何なのか
 ただの選挙互助会となっているのでは

・メディア報道について
 ほとんど政策について報じられず、
 小泉さんの床屋、同級生などのニュースばかりで見ていられない
 これまでの公約などをまとめてネットに上げても、ほとんど見られない
 このメディア報道で、人々が騙されて、1度痛い目を見れば、
 人々の政治的な意味での成熟につながるのではないか

小泉内閣のメンバーについて
 比較的、都会地盤の人が多い
 構造改革のポイントは地方と都市への交付金の配分
 地方のからは、配分が減るのではないかと不安視する声もある
 過去の構造改革路線の失敗として、大規模店舗規制法の緩和があり、
 90年代に入って、地方に大規模店舗が増えたが、商店街が閉まった。
 その後、平成不況が深刻化して、大規模店舗も閉鎖され、何も残らなかった。
 例えば、地方の土建屋に多額のお金を配分して、箱モノを造って、
 労働力需要を惹起し、その労働者がお金を落とすようにして、
 地域経済を支える、ということが現にある、
 これをどう変えるのか、何に取り換えるのかという道筋が見えない
 小泉内閣は具体的な、オルタナティブな政策を示していない

・市場のサンクション
 海外のクールな投資家の判断によって、
 日本経済(政治)へのサンクションがなされるだろう

経世会の敗北
 従来の利益配分システムが崩れたことで、現状の議員の
 選択肢が増えた、という意味ではポジティブに受け取って良いのでは

<書籍・映画>
 なし

<所感>  2024年2月1日
 先週と同じく、小泉政権への注意喚起だったが、あまり面白いとは思えなかった。
 遠い地の国政について、離れた場所から部外者として見ている感覚で、自分の
 一票で何かが変わるとは到底思えない無力感が、いまだにぬぐえずにいる。
 自分の中では、既得権益をどうしたら動かせるのか、を考えるより、
 自由市場で競争してみたい、という好奇心の方が強いように感じる。

 印象的な文言特になし

#0009_010427メモ・補足

#0009_2001年4月27日
小泉政権誕生とその展望


・小泉新政権の誕生
 元自民党支持で、
 森政権時代に自民党不支持に回ったが、
 小泉政権誕生で、自民党支持に戻った人は6割台半ば
 街頭インタビュー(100人)では、7割台が小泉支持
 これは相当な支持率で弱った
 小泉政権誕生で、何が実際に起こったのかを検討せず、
 ガス抜きされてしまうのではないか
 1つには、自民党衆議院議員の総意ではなく、
 党員・党友の投票結果が明らかになった時点で、やむを得ずそうなった
 これは9月の総裁選で巻き直せるという、ある種のバッファ、余力があってのこと
 小泉政権は、いったい誰の支持で成立しているのか
 7月の参院選を乗り切って、そのあとまた、経世会やら、江藤・亀井派やらの
 何らかの巻き返しで、昔ながらの利権配分政治に戻る可能性もある

・メディアの報道について
 日本国内では、細川政権時のような騒ぎ方だが、
 海外では、”?”付きの報道がなされ、評価されるとところと、されないところが
 冷静に報道されているように感じる

・今後の小泉政権はどうなる
 次の参議院選挙で、小泉政権自民党が勝った場合、
 (現有勢力が少し減る程度なら)、小泉続投となるのか
 小泉は、政権が取れる、と予想した時からシュリンクした
 自分が勝てるかわからない時には、不良債権、失業者手当など、
 野党も巻き込んだような論調で攻めていたが、自民党内で勝てる見込みが
 たってからは、トーンダウンした
 権力をとれない、と思っている時と、
 権力をとれると見込みがついた時とで、言動が変わる
 
・派閥政治は悪いものか
 政策集団、政策勉強会としての派閥は有意義なものであるが、
 既得権益をどう分配するか、という派閥は無力化すべき
 最近の小泉演説の内容では、
 自民党だけが日本を支えられます、自民党を変えられるのは自分です、
 という文言で、自民党を変えて、自民党の看板を維持すること、とは何なのか
 つまり、戦後体制の中で、既得権益を配分するシステムを持った政党、
 配分のシステムを失った自民党とは何なのか
 ただの選挙互助会となっているのでは

・メディア報道について
 ほとんど政策について報じられず、
 小泉さんの床屋、同級生などのニュースばかりで見ていられない
 これまでの公約などをまとめてネットに上げても、ほとんど見られない
 このメディア報道で、騙されて、1度痛い目を見れば、
 人々の政治的な意味での成熟につながるのではないか

小泉内閣のメンバーについて
 比較的、都会地盤の人が多い
 構造改革のポイントは地方と都市への交付金の配分
 地方のからは、配分が減るのではないかと不安視する声もある
 過去の構造改革路線の失敗、大規模店舗規正法の緩和
 90年代に入って、地方に大規模店舗が増えたが、
 商店街が閉まった。その後、平成不況が深刻化して、大規模店舗も閉まった。
 その結果、何も残らなかった
 どういう構造改革の道筋なのか、
 例えば、地方の土建屋に多額のお金を配分して、箱モノを造って、
 労働力需要を惹起して、その労働者がお金を落とすようにして、
 地域経済を支える、ということが現にある、
 これをどう変えるのか、何に取り換えるのかという道筋が見えない
 小泉内閣は具体的な、オルタナティブな政策を示していない

・市場のサンクション
 海外のクールな投資家の判断によって、
 日本経済(政治)へのサンクションがなされるだろう

経世会の敗北
 従来の利益配分システムが崩れたことで、現状の議員の
 選択肢が増えた、という意味ではポジティブに受け取って良いのでは
 

*五人組
 2000年4月に小渕首相が倒れた際に、後継選出の会談に集まった
 自民党の有力国会議員であった5人のこと
  森喜朗幹事長(森派
  青木幹雄内閣官房長官小渕派
  村上正邦参院議員会長(江藤・亀井派
  野中広務幹事長代理(小渕派
  亀井静香政調会長(江藤・亀井派
 会談中、「あんたがやればいいじゃないか」との村上の発言により、
 後継総理に森喜朗が就任することが決まった。

*財政構造改革
 橋本龍太郎内閣(1996~1998年)は、「6 大改革」を掲げ、行政改革
 構造改革に取り組んだ。1997年には、財政構造改革
 (財政構造改革の推進に関する特別措置法)を成立させた。
 これは財政健全化をめざし、歳出削減と赤字国債の発行額削減を
 法定したものだが、直後に発生したアジア通貨危機などによる
 景気後退のため、同法は執行が延期された後、停止された。
 1989年の消費税導入(3%)、1997年の税率引き上げ(5%へ)は、
 税収構造を経済変化に合わせて安定させるためのものであった。
 日本共産党佐々木憲昭議員からの質問抜粋
 橋本内閣が最重要課題といって昨年十一月に強行しました財政構造改革法、
 これでは一切の聖域なしということで、一律カットというのが最大の特徴だった
 わけでございます。公共投資の場合は七%カット、こういうことでありました。

#0008_010423_政府のメディア介入と総裁選の行方-

#0008_2001年4月23日
総裁選は出来レースか-


・報道番組検証委員会
 自民党のメディアに対する牽制だが、参議院選対策だろう
 メディアがこれを報じないのは、チリングエフェクトからの自主規制
 1度誰かが裁判を起こしたほうが良いのではないか

朝日新聞の抗議
 記者クラブの中でもリベラル
 報道番組検証委員会については、
 ”「公平」掲げTVけん制”、“放送免許、取り上げ可能か”
 などの記事で対抗している
 ただし、NHK、共同通信、朝日などは、
 記者クラブ内の規範を乱す他社に対して、
 厳しい措置を要求することが多い、という話もある

自民党総裁選の役割
 日本の国力低下が進む今、
 森首相がいなかったら、日本の政治システムが腐っている、
 という認識もなかったかもしれない
 長期的に見て、反面教師という意味で役に立つのではないか

・政府のメディア介入
 現在、たかが自民党がどうなるか、
 という不安からメディアに介入しようとしている
 この動き自体が、今の自民党のポテンシャルを表している

・既存メディアの自主規制と政府の介入
 民放社内でも発言、行動が制限され、窮屈になっている、という
 これは、問題ではあるが、独立系にとっては追い風ではないか
 アメリカでは、公人に対しては何を言ってもよい
 ただし、事実の誤報は悪意があるかどうかが争点となる
 間違った報道があった場合は、訂正をする
 結果、事実誤認のある信頼のない番組としてサンクションされる
 日本の懲戒人事は行き過ぎではないか

出来レースの総裁選
 公平な競争を装って、報道されているが、
 すでに、水面下で根回しが進んでいる
 視聴者の方は騙されないでほしい
 特に、公約は国民の我々がチェックしなければならない

民主党への疑念
 民主党が、経世会をなくした自民党、もしくは
 各派閥を超えるポテンシャルがあるのかが疑問

経世会に欠けているもの
 ガバナビリティ、統治知者としての力、が欠けている
 田中角栄にはあったと思うが、その後の竹下以降には欠けている
 利権政治だから悪いのではなく、利権の中で動いてきた人間に統治能力がない
 国家全体を見通して、長期的な戦略を立てたり、外交や軍事に関して様々な
 手を打つ能力が、田中にはあったが、経世会にはない

民主党パターナリズム
 1945年に、アメリカの民主党左派が日本に来て、
 GHQ主導のもと、大所高所から見て、日本の統治機構を作った
 別の言い方をすれば、世界でも例のない規模の壮大な実験を行った
 民主党左派でなかったら、日本国憲法9条は今のようになっていないだろう

<書籍・映画>
 なし

<所感>  2024年2月1日
 政府とメディアの関係や、経世会などの派閥など、やはり永田町の話は、
 よくわからない、と思った。ネットで調べながら、なんとなく、雰囲気は
 わかってきたが、やはり20年以上も前のことなので、わからないことが多い。
 何度聞いても、興味が湧かない状態が以前として続いている。

 印象的な文言特になし

#0008_010423_メモ・補足

#0008_2001年4月23日
総裁選は出来レースか-


・報道番組検証委員会
 もともと放送法は、戦後のアメリカを真似て作った法律
 不偏不党、中立というのは時の政権、時の統治権力からの中立
 権力側に介入されない、すり寄らないような目的の法律
 公共放送、準公共放送のNHKの中立と異なる
 自民党のメディアの牽制委員会だが、参議院選対策だろう
 メディアがこれを報じないのは、チリングエフェクトからの自主規制
 1度誰かが裁判を起こしたほうが良いのではないか

朝日新聞の抗議
 記者クラブの中でもリベラル
 今回の報道番組検証委員会についても、
 行政の規制に対して”「公平」掲げTVけん制”
 “放送免許、取り上げ可能か”などの記事で対抗している
 誰か1社がやってくれれば、世論が動くのでは
 
 ただし、記者クラブ内で知っている範囲で、
 NHK、共同通信、朝日はクラブ内の規範を逸脱したメディアに
 対して、厳しい措置を要求することが多い、という

自民党総裁選の役割
 日本の国力低下が進む今、
 森首相がいなかったら、日本の政治システムが腐っている、
 という認識もなかったかもしれない
 長期的に見て、反面教師という意味で役に立つのではないか

・政府のメディア介入
 誰が統治権力であろうと、その外側で権力を批判する健全な
 メディアの働き、ときの権力から影響を受けずに活動できるメディアが
 なければ、党利党略を超えて、日本の全体的な国益にかかわることは
 中長期的に明らか、そういうセンスもなし、たかが自民党がどうなるか、
 でメディアに介入しようとする、という動き自体が
 今の自民党のポテンシャルを表している

・既存メディアの自主規制と政府の介入
 民放各社でも、社内での発言、行動が制限され、
 窮屈になっている、という
 これは、問題ではあるが、独立系にとっては追い風ではないか
 例えば、テレビで、アンケート調査の回答「自民党は不要だ」という
 放送を見た自民党が、内容証明付きで抗議の文書を送った
 ザ・ワイドで森首相の退職金について、事実誤認の報道があり、
 訂正の報道をしたうえで、懲戒人事が行われた
 アメリカでは、公人に対しては何を言ってもよい
 ただし、事実の誤報は悪意があるかどうかが争点となる
 間違った報道があった場合は、訂正をすればよい
 その報道は事実誤認のある信頼のない番組としてサンクションされる
 懲戒人事は行き過ぎではないか

出来レースの総裁選
 いかにも公平な競争を装って、熱狂を呼ぼうとしているが、
 すでにある程度、水面下で根回しが済んでいるので、
 騙されないでほしい
 特に、公約は国民の我々がチェックしなければならない

・四候補の公約
 亀井、橋本は従来型の利益誘導型の政治
 小泉は構造改革財政再建、景気回復を掲げて、
 緊縮財政も謳っている
 ここで変わっても、何も変わらないだろう
 1度自民党が落ちるような人がやったほうが良いのではないか
 小泉が首相になったとしたら、経世会が主流はから外れるかもしれない
 それに、小泉おろしが起こるだろう
 自民党内で溝が深まれば、野党と近い距離間の首相となるかもしれない
 さらに、土建型、組織型選挙ができなくなるだろう

民主党への疑念
 民主が、経世会をなくした自民党、もしくは各派閥を超えるポテンシャルが
 あるのかが疑問

経世会に欠けているもの
 ガバナビリティ、統治知者としての力、が欠けている
 田中角栄にはあったと思うが、その後の竹下以降には欠けている
 利権政治だから悪いのではなく、利権の中で動いてきた人間に統治能力がない
 国家全体を見通して、長期的な戦略を立てたり、外交や軍事に関して様々な
 手を打つ能力が、田中にはあったが、経世会にはない

民主党パターナリズム
 1945年に、アメリカの民主党左派が日本に来て、GHQ主導のもと、
 大所高所から見て、日本の統治機構を作った
 別の言い方をすれば、世界でも例のない規模の壮大な実験を行った
 民主党左派でなかったら、日本国憲法9条は今のようになっていないだろう
 共和党は、アイソレーション(分離、独立)が強い


放送倫理・番組向上機構
 (Broadcasting Ethics & Program Improvement Organization、BPO)は、
 日本放送協会NHK)や日本民間放送連盟(民放連)とその加盟会員各社に
 よって出資、組織された任意団体。理事会、評議員会、事務局と3つの
 委員会[放送倫理検証委員会、放送と人権等権利に関する委員会
 (放送人権委員会)、放送と青少年に関する委員会青少年委員会)]に
 よって構成されている。
 郵政省に設置された『多チャンネル時代における視聴者と放送に
 関する懇談会』が1996年に出した報告書の中で、「視聴者の苦情に
 対応するための第三者機関を設けるべき」との意見が盛り込まれ、
 NHKと民放連が1997年5月に『放送と人権等権利に関する
 委員会機構』(略称:BRO)を設置した。
 BROのもとに第三者有識者で構成される
 「放送と人権等権利に関する委員会」(略称:BRC)が置かれた。
 2003年7月に、放送番組向上協議会と統合することで、
 現在の放送倫理・番組向上機構BPO)に改組された。
 一方、2009年7月に佐藤勉総務大臣は放送協議会総会で、
 BPOに対して独立性の低い放送業界関係者による組織のため
 「お手盛りである」といった問題点を指摘している。

スクープ 悪意の不在
 (原題:Absence of Malice)は、1981年制作のアメリカ合衆国の映画。
 シドニー・ポラック監督、ポール・ニューマン主演で情報操作による
 報道被害をテーマとしている。

自民党総裁選挙 (2021)
 「国会議員票」と「党員票」は、いずれも382票で、あわせて764票です。
「国会議員票」は、9月29日に投票が行われ、その場で開票されます。
一方、党員・党友による投票は、投票所での直接の投票や、
はがきなどで行われ、投開票日前日の今月28日までに締め切られます。
党員投票が行われるのは3年ぶりで、投票権を持つのは、全国110万4336人です。
都道府県連が集計した得票数を党本部でまとめ、382票が
いわゆるドント方式で、候補者に配分されます。
「国会議員票」と「党員票」をあわせた有効票の過半数を獲得した候補者が
新総裁に選出されます。
過半数の票を獲得する候補者がいなかった場合は、
上位2人による決選投票になります。

ドント方式
 ドント方式とは、各政党の総得票数をそれぞれ1,2,3,4・・・と自然数
 割っていき、得られた商(得票数)の大きい順に議席を配分する方式です。
 参議院衆議院比例代表選挙などに用いられています。

パターナリズム
  paternalism
 強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、
 本人の意志は問わずに介入・干渉・支援することをいう。
 対義語はマターナリズム
 日本語で父権主義、温情主義と訳される
 語源はパトロン(後援者)の語源となったラテン語の pater(パテル、父)

#0007_010416_ジャーナリストへの険しい道のり

#0007_2001年4月16日
談合がメディアをダメにする


海南島事件 (米中空中衝突事故)
 コソボ紛争時の噂話として、
 アメリカのステルス戦闘機F-117墜落のニュースを思い出した。
 当時、セルビアに墜落した戦闘機の残骸を、
 中国が買い取って、解析しようとした。
 そのエンジン特定の周波数で索敵できれば、
 ステルス機能を殺すことができる、と言われていた。
 アメリカは機密漏洩を恐れて、セルビアの中国大使館を爆撃したが、
 大使館からは何も発見できず、古い地図を言い訳に誤爆と報道された。
 (中国は爆撃を事前に察知し、大使館から移動していた、と言われている)
 今回の衝突事故も、ハイテクウォーフェアの側面が強いのではないか、
 と思うが、実際のところはわからない

・米中の緊張状態について
 クリントン政権時代は、戦略的パートナーとして、
 公的な空域内での哨戒活動でとどめていたとされているが、
 ブッシュ政権では、ぎりぎりまで近づいてデータ収集していた可能性がある
 さらに、共和党は親台湾派なため、中国を少なからず意識しているはずである
 ただし、繰り返しになるが、国家間の外交は実際のところは分からない
 そのスケールは永田町の比ではなく、
 アメリカのような情報公開法がある国でさえ、ナショナルセキュリティとなると、
 25年間は情報が秘匿される。25年後に、学者が頑張って掘り起こしても、
 本当のところはちょっとしか出てこない。
 とはいえ、実際何が起こったかわからないにしても、何が起こったことにしたか、
 というところを見ると、多少、外交の流れが読めることがある

亀井静香総裁選出馬の意思表明
 野中、森などの権力が操り人形にできそうな人材を、
 一本釣りしている状況である。
 その動きを見て、亀井静香亀井派を守るために出馬の
 意思表明をしたと考えられる。
 トップが立候補すれば、亀井を差し置いて、
 その下からの立候補はできなくなるため、
 一本釣りに対する抑止効果が期待できる。

再販制度の存続
 公正取引委員会再販制度の廃止を見送った
 理由は、廃止に向けた国民的合意がないため
 世論の98%が再販制度を望んでいる、という報道になっていた
 これは、メディアが再販制度の必要性を訴える報道していないから
 反対の意見も、同じスペース、時間を割いて報道すべき

・ジャーナリズムの客観性
 あるテーマを取り上げた瞬間に、
 絶対的な客観性はありえない
 あるポイントを決めたなら、穴を掘る
 左右から両方同じように掘り進める
 穴は多いほど、民主主義は強固となる
 掘った先にあったものを地上で公表し、
 その判断は視聴者に任せる
 ただし、曲がった掘り方だと、事実が歪んでしまうので、
 そのような介入があった場合は、例え統治権力でも許すな
 と、学生時代に教わってきた

・喜怒哀楽と損得報道
 ジャーナリズムの基本として、
 喜怒哀楽と損得に依存してはならない
 本当に重要なことは、喜怒哀楽や損得と関係がない
 かわいそうな人物を中央に据えて、感情に訴えるような報道は
 ジャーナリズムとかけ離れる

・日本のジャーナリズムの脆弱性
 ひとつの会社に属してしまうと、会社の指定した範囲内でしか、
 穴を掘れないし、外に穴を掘ろうという発想がない
 ジャーナリストトレーニングの機会がない
 日本のメディアでは、非常に情緒的な理由で、報道の方向が逆転する
 ある人物にバッシングが集中したかと思うと、それはやり過ぎ、と擁護に回る、
 あるいは、誰かが称賛されると、それはほめ過ぎだ、と振り子のように振れる

・日本のジャーナリズム教育
 欧米の職業ジャーナリストを育成プログラムと一番近いものは、
 全国紙やNHKで行われている、入社直後の地方への配属である
 権力構造などがシンプルな場所で、毎日現場へ出て、
 毎日赤ペンで原稿を直される、というのを3~5年続けると、
 ものの見方、考え方、世の中の仕組みについて、素人から脱却する
 例えば、ある法案が通るか否か、というときに、
 その背後にいる団体や利権にまで、考えが及ぶようになる。
 自分のいた地方支局に当てはめて、取材を通して得た実感として
 リアリティをもって想像できるようになる
 なぜその議員がそういう投票をするのか、発言をするのかが理解できる
 その積み重ねが大事である
 海外では、地方での修業が厳しい
 苦節十年でようやく中央に行けるかどうか
 腐っても、ワシントンにいる記者は一流で、
 かつ、海外では記者の流動性があるので、
 一度フリーランスになって出版し、大手に戻るということもある
 日本では、新聞の全国紙とNHKが、海外と近いが、
 テレビ局はジャーナリスト育成が全然ない
 いきなり中央へ配属されて、右往左往となる

・インスティチューションジャーナリズム
 日本の記者は、サラリーマン、企業人
 記者クラブなどの、談合、村社会がジャーナリズムに良くない
 日本では流動性がなく、朝日なら朝日でずっと
 テレビ局に入りたい人は「ジャーナリストになりたい」とは言わないほうが良い
 そんなことを言えば、異分子として排斥されるのが落ちである

・システムと人
 最終的な問題はシステムだが、システムを変えるのは人である。
 言い換えると、制度やシステムが変わったときに、耐えられるような
 人材の分布がないと、それを受け入れることができない
 人材をどう育成するか、質を変えていくか、と考えるとやはり教育が重要

有明海諫早湾の水門の開門
 諫早湾干拓によって発生した赤潮による養殖のりの不作が、
 きっかけと言われ、報道されているが、のりの養殖に使用される酸が
 環境に悪い側面を持つことも、昔から問題視されてきた
 しかし、メディア報道は開門だけを取り上げて、
 養殖のり自体が持つ悪影響は報じようとしない
 養殖のりの業者が被害者で、行政との衝突をピックアップし、
 両側から掘ることをせずに、一方的に報道する
 
・メディア報道の問題点
 ひとつは、水門の開閉と汚泥の流出、流出したとして、どの程度の
 海洋生物に影響が出るのか、という科学的な視点が欠けていること
 もうひとつは、養殖のりを擁護する報道をしないと、情報源への
 取材がしにくくなる(養殖のり自体の悪影響を報道すると、のり業者が
 口をつぐんでしまう)、という事実上の利益共同体ができあがってしまうこと

・記者のクオリティ
 情報源にとって、取材に応じるも、応じないも
 両方がリスクとなるときに、応じないリスクの方が大きい
 記者にならないといけない
 クオリティの高い記者が世論に反する記事を書く場合、
 反対の主張を慎重に調査してから書く
 普段の順風な記事よりも根拠を入念に調べた上で報道する
 そういう記者は反対意見の人が読んでも、頷けるような記事を書く
 例え反対の意見であっても、その記事、報道に信頼が生まれれば、
 取材に応じたほうが得だ、と思わせることができる
 逆に応じなかった場合、自分の反対意見表明の機会が失われることになる
 (自分の反対意見も根拠をもって記事にしてくれる期待がある)
 
・最低限のアクセシビリティー保証
 情報源に対する最低限のアクセシビリティーが保証されていれば、
 そこから先の、プライベートな関係の中での情報が生じても弊害は少ない
 (インサイダーであれば知りうること、インサイダーであるが故に書けないこと)
 しかし、記者全員が当事者にとって、有利か不利か関係なく、
 最低限のことは書く、という合意形成がなければ、最低限の情報が開示できない
 例えば、もし、記者がひとりだけ、養殖のり自体の悪影響を書けば、
 のりの事業者から村八分となり、情報源から遠ざかって記事が書けなくなる
 日本では、他の記者が自分の取材を有利に進めるために、
 そういう記者の排斥を助長することもある、という
 これは、記者クラブとは違ったメカニズム(談合)で起こる弊害である
 
分断統治、ディバイドアンドルール
 利権構造の違う集団を2つ作って、
 利権のあるグループは、それが保存される方向に行動する
 しかし、自発的な行動しているつもりでも、結果的に
 統治権力側が思う通りの行動をとることになる
 これは、統治権力側の意図的なシステム構築や規制強化なのか
 それとも、システムに内包されていて、結果的にコントロールされているのか
 歴史的な経緯を考えると意図的なシステム構築ではない
 昔の冷戦体制がきつい時代は、三鷹事件松川事件のように、
 いろいろなことが起きた。
 要するに、右対左の対立があり、マスコミ、記者クラブも含めて、
 右に対しては左という、ある意味の利害を共有していた
 記者クラブの利権は統治権力の利権と必ずしも一致していなかった
 冷戦終結以降、記者クラブは対抗するものがなくなって、
 権力と利害を共有するものに反転した
 いつの間にか、制度の廃止が既得権益の喪失を意味することなり、
 気づいた時にはやめられなくなっていた
 これが、今の状態ではないか

・今の同世代(40代前半)の官僚
 官僚、統治権力が記者クラブ制度を利用して、
 メディアをコントロールしようとしている、というのは確信犯か
 昔だったら、「官僚は無謬主義で聞く耳をも持たないが、
 政治家はもう少しマシで、、、」といった話が一般的だったが、
 今は、官僚も多様性を持っていて、例えば留学して、
 スキルを身に付けてスピンアウト、NPOを作るなど
 いくつかのモデルも登場してきた

 昔ながらの守旧派で、無自覚的に組織の利益にどっぷり
 浸かっている人は、記者クラブ制度の利用価値に無自覚かもしれない
 むしろ、組織に対しての帰属意識の低い若手の官僚は、
 自分たちが何によって守られているか、十分に知っているのでは


<書籍・映画>
なし

<所感>  2024年1月25日
 神保さんがジャーナリズム教育について、
 「毎日現場へ出て、毎日赤ペンで修正される、これを3~5年続けて、
 ようやくリアリティをもって理解できるようになる」と仰っていました。
 私も、なぜ部長がそんな発言をするのか、わかるようになってきましたが、
 その3~5年の修業の意味は、今になってわかること。
 後輩にその意味を説くことが非常に難しく、悩ましい日々が続いている。


 印象的な文言は、
 「分断統治」「インサイダー」
 「スピンアウト」「無謬主義」