備忘録

マル激全アーカイブス視聴を目指して

#0004_010309_メモ・補足

#0004_2001年3月9日
作る会の教科書から考える日本の歴史観

 

教科書検定の運用方法
 外交的に賢明な選択肢はないか
 日本の文化的民度の問題
 教科書検定は先進国では少数
 検定制度は世界的に一般ではない

 初等教育教科書検定がある国
 ドイツ、ノルウェー、中国、インドネシア

 初等教育教科書検定がない国
 イギリス、フランス、ロシア、スウェーデンフィンランド
 アメリカ、カナダ、*韓国、*タイ、*マレーシア、シンガポール
 オーストラリア、ニュージーランド
 (*は中等教育では検定あり)

・教育にどのような目的を持つか
 近代過渡期の従来型の一斉カリキュラムで年齢別の発達課題があり、
 一斉に同じことをやらせるという場合は検定制度は相性が良い
 現在の日本の教科書検定制度は、
 最低限必要なこととそれ以上書いてはいけないこと、
 を非常に狭いバンドを指示する
 一般に先進国が採用しているのは、個人カリキュラムを主体としていく方策で、
  各人がどういう知識にどういう動機でアクセスするのかをオープンにする
 この場合、間違いをチェックする知識上の検定制度になる
 例えば、年号やミスプリ、明らかな事実の誤認など

 戦後の昭和22年(1947年)に学校教育法の中で、

 小中高で検定を実施するようになった当初の意図と、歴史認識の問題
 政治的なニュアンスを帯びてしまう問題がある
 侵略なのか、進出なのか、話題になった
 文部省が旧内務省系列だった
 反組合的、反マスクス主義世界観的な検定が行われていたということがある
 世界観のチェックは検定制度だけが悪いのではなく、
 執筆者側にもマルクス主義的な思想が支配的であったこともある

 特に、歴史教科書については難しい
 間違いのチェックという意味での検定は必要なのか、
 明らかな間違いは調べて訂正すれば済む話である

 そもそも、冷戦時代のマルクス主義か反マルクス主義か、
 という二項図式でなく、
 イデオロギー、思想、民族、利害の対立が非常に入り組んでいる
 状況なので、ある立場から見るとこう、別の立場から見るとこう、
 といったように多元的に、かつ並行的にリアリティや価値観を見せるような
 やり方こそが    歴史教育、社会科にふさわしい

 現在は近現代史まで学んでから大学へ進む人が多い

 教科書をつくる会的な部分は恥ずかしいと感じた
 日本はすごい、日本人はすごかった、そのことに誇りを持とう
 といいう部分が、、、

 JCOの問題や日本の政局について、
 特に、先進国、海外のメディアが日本をどう見ているか
 日本は思っていたよりも近代的でない、ダメな国では
 日本は何よりもだめな日本を経由せず、単に謝罪だけがあった
 自分は悪かったごめんなさい、というのと
 自分はダメでした、というのは基本的に意味が違う
 自分たちのどこがダメなのかを精査して、
 ディテールまで分け入って反省することをしていない

 敗戦について、日本では失敗の研究をしていない、
 アメリカではベトナム戦争で失敗を研究して失敗学とまで呼ぶようになった
 誇りは誇りでいいかも知らんが、失敗は失敗として「悪ぅございました」ではなく、
 どこがダメだったのかを考える材料を提示できないのであれば、
 教科書として非常に価値の低いものになる。
 つまり、民度を上げることに寄与しない。

・ワドル艦長に謝らせた
 謝罪を優先させた場合、つまり被害者の感情の回復を優先した場合、
 具体的にどの部分がどうダメだったのかの考えて、検証することが
 できなくなってしまうことが多い。というか、日本ではそれがほとんど

野口悠紀雄の40年体制
 戦前戦後は地続き
 天皇陛下万歳アメリカさんありがとうへ、
 表面上は変わったが実際のシステム運営は同じ
 組織で一丸となって進む、何かが起こったときに
 誰の責任か、ではなく、みんなが悪かったんだと
 なぜか罪の意識を共有して突き進む
 経済成長には役立ったが、根本的に日本を敗戦に
 追い込むようなシステムであったが
 そこまで考察が及んでいない

・経済主導型
 経済主導型は経済が成長している時には、
 日本の組織的原理は明白な害悪を及ぼさない
 成熟社会、成長が止まって、経済が停滞してからは、
 経済的な目標を掲げていた人たちは空洞化する
 アノミーに陥る
 経済が停滞して、ここには夢はない、どこに夢を抱くか、
 誇りやプライド、日本独自の文化など、奇妙な価値観に移行する
 それ故に、従来あまり表に出てこなかった問題が急に浮上する

 まさに自分たちをダメにした作法、
 汚いことばっかり教える、ダメなことを教えるのではなく、
 誇りを持てることを教えよう、という姿勢ではなく、
 自分たちのどこがダメだったのかを精査する、検証しきることに
 誇りを持てるように推奨するべき

・レトリックなメディア報道が繰り返されて、
 それを見ている我々が慣れてしまった結果、
 問題認識や議論の勢いが衰退していないか
 一般に、先進各国で教育改革や治安などの内政改革に手を付けるのは、
 多くの場合、経済が停滞したとき
 経済が順風満帆のときには、様々な制度の矛盾は覆い隠されがち
 なんだかんだ言っても、成長して、失業率が下がり、
 賃金は上がっているじゃないか、といって見過ごされる
 
 例えばアメリカの教育制度では、
 従来の工場労働者養成型(軍隊に判を取った制度)から、
 自己実現型、自己決定試行錯誤型のシステムに変えていくことが一般化した

 教育や治安が問題に上がるのは一般的だが、
 過去回帰型(昔はよかったという主張)の処方箋ばかり出てくる

・公、パブリック、愛国心、尊厳への2つの伝統
 旧枢軸国側の思想
 大いなるもの、崇高なものと一体化して人間は良きものになれる
 国とは、まさに一体化すべき崇高なもの、国自身が崇高である
 和をもって尊しとなす(聖徳太子)
 公が失われたのは、万人が帰属する大いなるものが失われた

 革命を経た"連合国"側の思想
 自分が自分で培ったものに誇りを持つ
 国とは、自由を支えるための必要最低限の公の器である
 我々が自由に試行錯誤できる元の公共財やルールは
 血であがなわれているからタダ乗りしてはいけない、
 それに向かった動機づけが必要である。
 公が失われたのは、違った人間と共生するために必要なルールや
 想像力の領域内において、コントリビューション(寄付、出資、貢献)
 する動機を失った

 初めから、日本では出発点のずれが自覚されないまま
 愛国心や公についての議論が進んでいる
 意味の違う2つの公の解釈について、免疫がない
 
つくる会のメンバーは確信犯か
 自分たちの理想を持っていて、戦略的に巧みな言い回しで、
 公が失われた、と主張しているのか
 そうではなく混同していただろう
 つくる会は、自己決定による尊厳の確保は、無理である、
 我々の伝統に反しているし、文化にはそぐわないという反論をする
 
天皇主義
 経済成長が停滞し、各個人が私利私欲の充実を目指す段階では、
 国民が一丸となるには天皇の存在は避けて通れないのでは?
 外国人排斥の合理的な理由についてもできないであろうが、
 その理由としても天皇を掲げる人がいる。
 
・日本の共同体文化
 そもそも日本国民という概念は天皇抜きに成立できなかった
 もともと藩で分かれていて、国境といえば藩と藩の境で、
 民衆には日本という概念がなかったので、天皇について
 知らない人がいたので、明治憲法制定前に認知度を高める施策を行った
 旧枢軸国側の主張をする立場であれば、天皇制を掲げることにならざるを得ない
 古くは薩長の人が革命を起こすために天皇を持ち出した

・日本のねじれ
 日本の歴史や天皇については、急速な近代化を経てねじれが生じている
 天皇は戦時中に打って一丸となるために掲げられて、その後革命の動機づけに
 利用された。現代では、旧枢軸国側の公の象徴として持ち出されており、
 それをもとに国民を統一することは難しい
 基本的に日本国民は、歴史の裏打ちがある利害集団としてとらえ直す必要がある
 
・日本人が戦争に行くとしたら、どんな動機づけがあるか
 アメリカでは、全国民が自由・平等のため、
 それを代表する合衆国憲法を守るため、というが、日本ではどうか
 きけ わだつみのこえ
 故郷や家族といったような自然共同体に帰依するのであれば、
 むしろ国といったような大きな人為的な共同体からは志を背けるはず

・自由と責任、義務
 自由と自由に必要な公共財
 公共財に必要なコントリビューション
 「**に忠誠を誓わないのか」という議論は困る
 つくる会の書き方として、責任と自由、義務と自由という
 責任と義務が自由の前にきている
 自由が先で、逆転することはあり得ない
 滅私奉公、滅私が先にある日本的な発想は近代的思考と反している
 利益を享受するために私を殺すのではなく、自由を享受する代わりに
 血であがなわれた公共財へ貢献する

・モデル提示要求
 最大多数の最大幸福ではなく、最大多数の最小不幸
 何が幸せか、一概に言えないので万人が試行錯誤して追求すべし
 しかし、人権侵害のような不幸については法律で担保する
 なぜか日本では、何か崇高な目標があると法律で裏付けしろという
 最大多数の最大幸福、人の幸せはこれだ、という部分を法律で裏打ちしたがる
 お上に何が幸せのモデルなのか示してください、と問うて、
 それを法的に裏付けてください、という
 何かにつけて、お上にモデルを提示してもらえないと邁進できない
 例えば、個人カリキュラム化への移行期間として、
 総合的学習の時間を設定した
 目的は、文部省がモデルを提示せず、総合的な所轄の中でモデルを
 発見して教育に結び付けることだったが、まずはそれについてのモデルを
 文部省へ要求する

・大学生の将来の志望
 日本では7割が何をしたいのか、を持たない
 良い学校、良い会社という教育が隅々にまで行きわたっていて
 何が自分の幸せかを試行錯誤できない

・青少年有害環境基本法
 有害メディアの悪影響論ではなく、
 幸福追求としての不意打ち回避、
 見たくないものを見ない、見せたくないものを見せない
 という海外の対応を紹介した
 大島理森議員からは、そうしたことを言う人はいなかった、
 何か言われても全面反対か賛成か、どちらかだった、と言われた
 官僚、役人としては、規制が増えれば利権が増える、
 もしくは、我々が正しい判断を下すべき、民衆に任せるべきでない
 という認識が強いのではないか

内閣法制局長官政教分離の原則についての解釈
 宗教団体の政治活動は課税権、警察権を
 行使していなければ問題ない、としている (1972年)
 これ以外の活動は全て許されている
 法律、法解釈の曲解として、法律に違反することにならない
 憲法20条では宗教団体は政治の権力を行使してはならない、とされている


新しい歴史教科書をつくる会
 1997年に結成された日本の社会運動団体
 従来の歴史教科書が「自虐史観」の影響が強いとして、
 従来の「大東亜戦争肯定史観」にも「東京裁判史観」ないし
 「コミンテルン史観」にも与しない立場(「自由主義史観」)から、
 戦後の歴史観を否定する新たな歴史教科書をつくる運動を進める団体
 コミンテルン共産主義インターナショナル
 国際共産主義運動の指導組織(1919年~1943年)

*小林 よしのり (1953年 -)
 日本の漫画家・評論家
 よしりん企画社長、ゴー宣道場主宰者、大東亜青年塾名誉塾長
 福岡県筑紫郡大野町生まれ、福岡県福岡市出身
 福岡大学人文学部フランス語学科卒業
 1976年に『ああ勉強一直線』を投稿しデビュー
 『東大一直線』『おぼっちゃまくん』などのヒット作を持つ

1940年体制
 戦後の日本経済の多くの仕組みは、1940年ころに総力戦としての
 太平洋戦争を遂行するため導入され、それが生き残ったという主張である。
 「1940年体制」は野口悠紀雄が名付けたもので、生産力の増強を目的に
 政府によって強制的につくられた「日本型企業(終身雇用、年功序列賃金、
 企業別組合)」「間接金融優位」「官僚体制」などを指す。
 非常時に作られた体制は、敗戦と占領期を生き延び、
 垂直統合型工業生産に適していたことから戦後の高度成長に大きな貢献をした。
 高度成長へと導く基盤となった日本的雇用・間接金融システムは、
 日本経済が欧米への『キャッチアップ』の段階にあったときには機能したが、
 それを終えた日本にとっては成長の障害となっており、そのためには「構造改革」が
 必要である。『金融護送船団方式』は結果として、社会的非効率性を生んだ

レミング
 レミング(Lemming)、和名は旅鼠[タビネズミ]
 北極及び北極近辺のツンドラ生物群系に生息するネズミの一種。
 体長7~15cm、体重30~112グラムほどの大きさで、
 長くてやわらかい毛と非常に短い尾を持つ。
 草食で、草やコケ、小枝などを食べる。
 レミングは、「集団自殺をする」と考えられている。
 スカンディナビアでは「集団で海に飛び込む」という伝説が
 古くから知られ、また16世紀頃までは「雲の中から自然発生する」とも
 考えられており、1555年のスウェーデンの文献に、「雲から生まれる」ことを
 示唆する木版画が描かれている。
 実際には、集団移住を行なっている際に、一部の個体が海に落ちて溺れ死ぬことは
 あるが、これは自殺ではなく事故とされ、すべての個体が海で溺れ死ぬことはない。
 また、レミングは泳ぎがうまく、集団移住の際に川を渡ることはよくある。

アノミー
 社会的規範が失われ、共通の価値や道徳基準がなくなった混沌状態
 心理学では不安、自己喪失感、無力感などに見られる不適応現象

二・二六事件 (1936年2月26日~29日)
 日本のクーデター未遂事件
 皇道派の影響を受けた陸軍青年将校らが1,483名の下士官・兵を率いて蜂起し、
 政府要人を襲撃するとともに永田町や霞ヶ関などの一帯を占拠したが、
 最終的に青年将校達は下士官兵を原隊に帰還させ、自決した一部を除いて
 投降したことで収束した。この事件の結果、岡田内閣が総辞職し、
 後継の広田内閣が思想犯保護観察法を成立させた

きけ わだつみのこえ (1949年出版)
 第二次世界大戦末期に戦没した学徒兵の遺書を集めた遺稿集。
 1947年に東京大学協同組合出版部により編集、出版された東京大学
 戦没学徒兵の手記集『はるかなる山河に』に続いて、1949年に出版された。
 BC級戦犯として死刑に処された学徒兵の遺書も掲載されている。
 編集顧問の主任は医師、そして戦没学徒の遺族である中村克郎をはじめ、
 あとの編集委員として渡辺一夫真下信一小田切秀雄・桜井恒次が関わった
 出版の際、全国から本のタイトルを公募し、約2,000通の中から藤谷多喜雄のものが
 採用された。そもそもの応募作は「はてしなきわだつみ」であったが、
 それに添えて応募用紙に
 「なげけるか いかれるか/はたもだせるか/きけ はてしなきわだつみのこえ」
 という短歌が添付されていた。
 「わたつみ(わだつみ)」は海神を意味する日本の古語である。

#0003_010302_イエロージャーナリズムと第三項排除

#0003_2001年3月2日
謝罪の異文化摩擦

えひめ丸事故に対するアメリカの謝罪
 以下、アメリカ ファロン特使の回答
 ワドル艦長本人が直接に謝罪できないのはなぜか?
 謝意を伝えることは日米の文化的、法的違いがある
 日本ではどんな状況でも文化が謝罪を要求する
 しかしアメリカでは有罪になるまで推定無罪となる
 自らの訴追を招く証言は拒否する権利が認められる
 そこがアメリカの法体系の信条であり、日本との違いで
 お互い分かり合えない根源である

・日米の謝罪文化の違い
 日本
 十分に相手の痛みに共振した、または
 過去に起こってしまったことについて、
 自分がどういう情緒的な状態であるかを表明すること
 特に、謝罪のみで現状回復の責任を負わないことも多い
 また、感情的な回復のための共同体内部への謝罪が多く、
 ある種のスケープゴートとしての側面を持つ
 謝罪すべきか、そうでないかは身内意識から判断され、
 それがない場合は無関係と認定され、謝罪することはない
 → 旅の恥はかき捨て文化の延長線上
 ただし、ヤクザの界隈ではけじめ、落とし前、手打ちの文化はある
 アメリ
 責任の所在を明らかにし、その後の現状回復、
 賠償について言明する、という意味合いを含む
 その後の刑事訴追、民事賠償を負うという表明になりかねない
 基本的にシンクロナイゼーションは信じないし、不可能と考えられている。
 また、再発防止の観点から、謝罪すべきかどうかが検討され、
 謝罪によって問題の背後にあるシステムが温存され、また同じ過ちを
 繰り返す可能性が高いと判断されれば謝罪しない

・イエロージャーナリズムよろしく
 ワイドショーなどで感情的に流されているコメンテーターが散見される
 異文化を理解してあえてそうしているのか、それとも
 単に感情的になって発言しているのか、わからない
 民間人を乗せたアメリカの原潜事故について、
 その背景を明らかにして責任を追及することは難しいと考えられる
 なぜ浮上しなければならなかったか
 なぜ民間人を乗せなければならなかったか
 なぜえひめ丸から離れることができなかったか
 など、単純な原因ではない(艦長1人の権限でどうにかなる状況ではない)ことが
 わかりそうなものだが、艦長への謝罪を要求する理由がわからない
 日本的な意味での謝罪は、既になされたと考えてよいのではないか

・証人喚問の問題点
 KSD事件の証人喚問にて、村上が刑事訴追を理由に証言を拒否したが、
 それが正当な理由にあたるかどうか、後に理事会で審査となった。
 委員長がその場で判断できない、どういう法的枠組みで
 証言を求めているか理解できていない、という状況が問題
 事実が何も明らかにならず、成果もないのに、禊、手打ちとしての
 イベント、お祭りのような機能しか果たしていない
 証人喚問の制度を見直すことが必要ではないか
 (例えば、アメリカNTSB法のような免責制度など)
 質問者がマスコミ報道を引用、参照することがあるが、
 これは警察、検察のリーク情報であって、信頼性がない
 捜査一課長など、現場責任者からの情報をもとに質問をしても信憑性に欠ける

アメリカの免責制度の例
 アメリ運輸安全委員会(NTSB)の事故調査制度では、
 航空機事故などは関係当事者参加の上で調査が実施され、
 その証言は民事上免責となり、調査で得た証拠も民事訴訟の証拠とならない
 その代わり、調査の報告書は容易に閲覧、入手できるため、
 訴訟の際は、その報告書に従って主張し、証人の申請、尋問をすれば、
 報告書と同様の結果を得ることができる、と言われる。

・第三項排除の弊害
 スケープゴートが共同体の排泄するすべてのけがれを吸収し、
 それを排除することで集団の調和と秩序を強化する
 謝罪を強要し、スケープゴートをバッシングして内部の結束を固める
 不祥事の際に生け贄を差し出して民衆の留飲を下げる
 この図式が繰り返されていて、実効性のある対策がなされない

・愚民視
 記者クラブ制度、再販制度廃止に対する反論として、
 イエロージャーナリズムよろしく書いたものが売れて、
 真面目な報道が売れなくなる、というロジックだが、
 それは、読者をバカにしていると受け取るべき
 同じ理屈で学生投票による大学の講義、教員の評価制度導入にも
 反対意見が出るが、これも学生をバカにしている
 要するに既存のメディアや教員に自信がないだけ
 本当に読者や学生の利益を考えたものであれば、必ず支持される
 アメリカでは議会のテレビ放送を公開した時に
 人気取りのパフォーマンスが流行ったが、
 長続きせず有権者リテラシーが上がった
 一時的にパフォーマンスだけの議員が当選し、
 有権者にとって不利益な政策が横行するリスクはあるが、
 そのリスクを回避していては、いつまでも変わらない
 それは乗り越えなければならない課題だ
 今後、インターネットを通じて、政策の実効性を容易に知ることができ、
 規則権益を超えて、面従腹背で投票行動を変える、
 動員ではなく、政策の内容で選ぶ人が増えることを期待する

・外国人への差別意識
 KSD問題で小山孝雄参院議員は、
 中小企業が労働力として外国人を雇用したかったため、
 外国人労働者技能実習制度の日本国内滞在期間を
 2年から3年へ延長するように質問した。
 技能実習制度は海外から来た単純労働者によって
 移民国家となることを嫌った政府の規制であり、
 ここでも規制が巨大な利権を生んでいる
 日本では異文化排除の風習・文化がある
 そのほとんどが合理性のない不安から拒絶している
 今後、外国人労働者流入が必要となる日本において、
 今が文化の摩擦を低減する練習期間と考えるべき

<書籍・映画>
なし

<所感> 2024年1月8日
 今回も、事件や判決を調べることに時間がかかり、まだ第3回なのに
 先は長い、と感じているとともに、今まで自分がどれだけ時事問題に
 関心がなく、無知だったのか思い知らされている。
 おかげで、今話題の「令和のリクルート事件」にもついていけそうである。

印象的な文言は、
面従腹背」「イエロージャーナリズム」
第三項排除」「スケープゴート」「禊」
対内道徳・対外道徳(二重道徳)

#0003_010302_メモ・補足

#0003_2001年3月2日
謝罪の異文化摩擦


・謝罪一色の記者会見
 えひめ丸沈没事故について、アメリカ側が謝罪会見を開いたが、
 謝罪が足りないという批判が相次いでいる

・ファロン特使の回答
 日本とアメリカとで基本的な文化の違いがある
 責任のある立場の人物は人名の喪失に深く陳謝すべきである 
 ワドル艦長が直接遺族に謝罪できないのはなぜか
 謝意を伝えることは日米の文化的、法的違いがある
 日本ではどんな状況でも文化が謝罪を要求する
 しかしアメリカでは有罪になるまで推定無罪となる
 自らの訴追を招く証言は拒否する権利が認められる
 そこがアメリカの法体系の信条であり、日本との違いで
 お互い分かり合えない根源である
 
・I'm srroy と言えないのは、
 その後の刑事訴追、民事賠償を全て負うことになりかねないため

・日本での謝罪
 十分に相手の痛みに共振したということを伝える
 過去に起こってしまったことについて、自分がどういう
 情緒的な状態であるかを表明する

アメリカでの謝罪
 責任の所在を明らかにする、これから自分が何をするのかの言明
 シンクロナイゼーションは信じられていないし、
 不可能だと考えられている

・日本ではごめんと言っても責任を取らないことがある

アメリカの様々な謝罪を見ると、
 過去に起こってしまったことについての
 情緒的な共振の用意は既にできている、と考えてよいのでないか

・マスコミ、ワイドショーなどを見ると、
 感情的に流されているのではないか
 民間人を乗せたアメリカの原潜に、
 その背景を明らかにして責任を追及することは難しいと考えられる

・なぜ緊急浮上をしなければならなかったか
 なぜ民間人を乗せなければならなかったか
 なぜえひめ丸から離れることができなかったか
 など、単純な原因ではないことがわかるはずではないか

KSD事件の証人喚問の際に村上が刑事訴追を理由に
 証言を拒否したが、それが正当な理由かどうか、
 後で理事会で審査します、となった。
 委員長がその場で判断できない、という状況は、
 どういう法的枠組みで証言させているのか理解できない

・ヤクザの世界ではけじめ、落とし前、手打ちがある

・再発防止のための議論はないのか
 再発防止の施策のひとつとして、
 アメリカでは航空機事故については、機長などは免責される
 だからこそ、自分に不利な事実についても真実を語ることができる

・ワドル艦長本人が謝罪してしまうと、
 日本では勇気ある発言となるが、
 問題を起こしている背景にあるシステムが温存されてしまい、
 また同じことが繰り返されてしまうかもしれない。

・報道関係者本人が感情的になっていないか
 なっていると思われる
 本当は謝罪できない理由を知っていて、
 あえてそうしているのか
 そうではない

・日本は謝らない
 アジアの戦争犯罪について
 薬害エイズミドリ十字について
 日本人は謝らない

・日本人の謝罪
 JCOの謝罪について、
 他者に対してではなく、部下に対して
 社内の感情的な融和を図るために
 山一証券なども社員の弁護
 世間をお騒がせしてという抽象的な理由でなく
 トップの自殺理由についても、部下の責任を引き受けて
 
 感情的に融和する必要がない、
 自分たちと同じ共同体を営んでいない、
 という他者であると認定された相手に対しては謝らない
 中に対してはペコペコ謝る
 → 旅の恥はかき捨て文化の延長線上
 身内意識があれば謝るが、無関係なら謝らない
 日本人は共同体のレベルを好きに設定できるので、
 個々に謝るべき範囲と謝らざるべき範囲ができる
 日本では、共同体のレベルは自然に拡大すると信じられている
 → 修身斉家治国平天下、一身独立して一国独立す

・共同体はどのように形成されるか
 日本企業の共同体は、組合運動が活発化した敗戦以降、
 こうした文化が一般化したから
 基本的に内向きな謝罪

・村上の証人喚問について
 村上がすべて背負って刑務所へ
 中身がほとんどわからないまま、何も変わらない
 証人喚問では何も明らかにならず、何の成果もないのに、
 全く実効性のないイベント(禊、手打ち)としてお祭りの
 ような機能しか果たしていない
 これによって逮捕が遅れた背景もあるため、
 証人喚問の制度を見直すことが必要ではないか

・証人喚問の問題点
 質問者がマスコミの報道を引用・参照しているが、
 これは警察、検察のリークである。
 (捜査一課長などの現場の責任者からの情報が主)
 情報は正しいのか
 マスコミには調査報道の力がないため、
 再販制度、宅配制度を廃止して自由競争のもとで、
 ジャーナリズムを遂行すべき

・マスコミの市民に対する愚民視
 再販制度廃止に対する反論、
 イエロージャーナリズムよろしく書いたものが売れて、
 真面目な報道が売れなくなる、というロジックだが、
 それは、読者をバカにしているんだと受け取るべき
 大学講義でも学生投票の制度採用について、
 同じ理屈で導入反対を言う人がいる
 これも学生をバカにしていると言える
 かつてアメリカでも同じ議論があったが、
 議会のテレビ中継を導入して公開した時に
 人気取りのパフォーマンスが流行った
 だが、そういう議員は長続きせず有権者
 リテラシーが上がった
 確かに一時的にパフォーマンス議員が当選し、
 有権者にとって不利益な政策が横行するリスクは
 あるかもしれないが、そのリスクを回避していては
 いつまでも変わらない
 それは乗り越えなければならない課題だ
 海外ではNPOによるモニターシステムががあるので、
 そのパフォーマンスに実効性があるかどうか、
 あったかどうか、より正確に知ることができる
 日本でもインターネットを通じて広がることを期待している
 規則権益を超えて、面従腹背で投票行動を変える、
 動員ではなく、政策の内容で選ぶ人が増えることを期待する

KSD問題が孕む外国人への差別意識
 小山孝雄参院議員は、
 中小企業が労働力として外国人を雇用したかったため、
 外国人労働者技能実習制度の日本国内滞在期間を
 2年から3年へ延長するように質問した。
 技能実習制度は海外から来た単純労働者によって
 移民国家となることを嫌った政府の規制であり、
 ここでも規制が巨大な利権を生んでいる
 日本では異文化排除の風習・文化がある
 そのほとんどが合理性のない不安から拒絶している
 例えば、拳銃を使った現金輸送車襲撃のニュース原稿で、
 「金を出せ、と流ちょうな日本語で言った」という報道があった
 『犯人は外国人の可能性が高いが、外国人にしては
 流暢な日本語だった』と言いたいのか、あるいは、
 『犯人は外国人だという先入観があるかもしれないが、
 日本人の可能性が高い』と言いたいのかわからなかった
 捜査一課長の個人的見解のバイアスがあったのではないか
 今後、外国人労働者流入が必要となる日本において、
 今が文化の摩擦を低減する練習期間と考えるべき
 
村八分
 日本では一度はじいて、バッシングして内部の結束を固める
 はじかれるきっかけは様々あり、スケープゴート
 禊のような役割を負わせる
 不祥事の際にいけにえを差し出して民衆の留飲を下げる
 この図式が繰り返されていて、実効性のある対策がなされない
 感情的な回復も重要だが、誰か一人の首で打ち止め、それでいいのか


えひめ丸沈没事故 (2001年2月10日)
 アメリカのハワイ州オアフ島沖で、アメリカ海軍の
 原子力潜水艦グリーンビルが、愛媛県宇和島水産高等学校
 練習船だったえひめ丸に衝突し、沈没させ、教員・乗組員5人と
 生徒4人を死亡させた事故
 アメリカ海軍所属の原子力潜水艦グリーンビルが浮上中に、
 愛媛県立水産高校の漁業練習船えひめ丸と衝突し、5分後に沈没した
 えひめ丸側35名の乗組員・教員・生徒の内9名が死亡し、
 衝突の際に海上に投げ出された26名は救出されたがその内の1名が
 鎖骨骨折、11名が軽傷を負い、9名が後にPTSDと診断された。
 この事故の際、グリーンビルはソナーでえひめ丸に気付いていたが、
 グリーンビルには民間人16名が搭乗しており、その対応に追われ、
 確認作業がなおざりになったとされている。
 2001年2月16日にはえひめ丸の船体が発見され、その後、10月16日、
 水深35mの位置まで移動させて、ダイバー等による1か月以上の捜索を
 実施後、船体は水深1800mの海底に移動された
 当時の森喜朗首相は事故発生時にゴルフをしていたが、
 事故の一報後もゴルフ場に留まったことが問題となり、
 内閣総理大臣を辞任した

アメリ運輸安全委員会による事故調査制度 (1974年法制定)
 NTSB(National Transportation Safety Board)法が1974年に制定され、
 NTSBは航空、道路、鉄道、海運事故など、全ての運輸事故を扱う
 NTSBは他の機関(特に警察)に優先する調査権限を持ち、調査の必要性が
 あると判断された事故について、現場にただちに急行し、現場事務所を
 設置、調査項目ごとに関係当事者を集め、当事者参加の上で調査を行う。
 事故原因の分析と勧告を含む調査報告を作成して調査活動は終了する
 が、事業者への直接の規制やその他の権限はもたない。
 ただし勧告の重みは大きく、事業者は勧告に沿って何がしかの
 対応措置を取ることを余儀なくされる。
 NTSBの最も著しい特徴は、証言の採集にあたって、(民事上の)免責を
 ともなうということである。NTSB法は、事故調査活動で得た証拠を
 民事訴訟の証拠として用いてはならないと規定しているし、
 NTSB調査官を証人として召喚することも禁止されている。
 さらに、事故調査に弁護士など司法関係者が立ち会うことも
 禁止されている。もっとも民事訴訟そのものを規制するわけではない
 報告書等は容易に閲覧 ・入手できるので、原告弁護人はその情報を
 もとに主張を組んだり、証人を尋問したりはできる。
  「民事訴訟においてNTSBの事故報告書を証拠として提出することは
 許されないが、その報告書に従って、主張を行い、証人を申請・尋問
 すれば、ほとんどの場合、NTSBの事故報告書と同様の結果を得ることが
 できる」 ともいわれる。
 
KSD事件 (2000年11月逮捕)
 財団法人「ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団
 (現:あんしん財団)の創立者 古関忠男が、
 「ものつくり大学」設置のため、自民党議員に対して
 政界工作したとされる汚職事件
 村上正邦元労相は、古関に依頼され、1996年1月の参議院本会議の
 代表質問で「ものつくり大学」の設立を支援し、この見返りに
 現金や事務所家賃の肩代わり等、総額5,000万円の利益供与を受けた。
 小山孝雄参院議員(村上の元秘書)も、質問の見返りに、
 2,000万円の利益供与を受けた。
*小山は参議院労働委員会他でKSDを後押しするために
 外国人労働者技能実習制度に係る国内滞在期間を2年から3年に
 延長するように求める質問を行ったりした
 この事件では、関連団体を経由した党費立替・迂回献金
 判明しており、KSD側から自民党に流れた資金の総額は
 十数億円に上ると言われた。
 東京地検特捜部は、2000年11月、背任容疑などで古関らを逮捕。
 2001年2月、村上はKSD事件で賄賂を受け取ったと報道される。
 同月28日に証人喚問された際、訴追の恐れを理由にいくつかの
 質問に対して証言拒否をした
 2001年3月、村上元労相、小山元参院議員、政策秘書を逮捕した
 2002年3月、東京地裁は古関に、懲役3年・執行猶予5年の判決
 その後、2005年2月、古関は東京都内のマンション浴槽内で死亡
 しているのが発見された。
 2003年5月、東京地裁は村上に、懲役2年2か月・追徴金約7280万円の
 実刑判決。政策秘書に懲役1年6月、執行猶予3年。
 村上と政策秘書は直ちに控訴するも、2005年12月、東京高裁は棄却。
 2004年2月、東京地裁は小山に執行猶予付き懲役1年10か月判決(確定)。
 2008年3月、最高裁村上正邦元労相に対し上告を棄却。
 村上に懲役2年2か月追徴金約7280万円の実刑
 同政策秘書に懲役1年6月・執行猶予3年が確定。

あんしん財団(旧称KSD)
 一般財団法人あんしん財団は、中小企業における特定保険業の実施、
 災害防止活動の促進などを行っている法人。
 かつての略称KSDは「経営者」「災害」補償事業「団」の
 三文字から来ている。
 被雇用者保険の適用を受けない中小企業の経営者を中心に、
 労働災害に対する共済を提供する他、職場環境の向上や
 福利厚生に対する助成などを行っている。

薬害エイズ事件 (1996年逮捕、1985年加熱製剤認可)
 1980年代に血友病患者に対し、非加熱製剤を使用したことにより、
 多数のHIV感染者およびエイズ患者が発生した事件
 薬害被害は世界的に起こったが、日本では全血友病患者の約4割に
 あたる1800人がHIVに感染し、うち約400人以上が死亡したといわれる。
 1981年頃から、米国でエイズの症例が報告されるようになり、
 中でも血友病患者が高い比率であったことから、非加熱製剤の
 安全性が疑問視されるようになった。
 1983年、日本の厚生省はエイズ研究班を組織し、調査を開始した。
 1982年~1986年までに、米国から輸入されていた非加熱製剤が
 HIVに汚染されており、これによって日本国内の血友病患者約5000人の
 うち、約2000人がHIVに感染、多くがエイズを発症して死亡するに至った。
 1985年に安全な加熱製剤が承認されたが、このとき非加熱製剤を
 製造していたミドリ十字は直ちに回収をしなかったため、HIV感染が
 拡大した。後にミドリ十字の三人の経営陣は、加熱製剤の承認後も
 非加熱製剤の販売を継続し感染を生じさせた責任が問われ、
 最高裁で有罪判決が確定した。
 非加熱製剤の回収を命じなかった厚生省も不作為責任を問われ、
 担当係長が業務上過失致死で起訴、最高裁で有罪が確定した。
 一般的には、加熱製剤の承認等によって、安全な血液製剤の供給が
 十分可能になった後も、政府による未使用非加熱製剤の回収措置が
 即座に講じられなかったことが、被害拡大の主因であるとされている
 1996年8月~10月に帝京大学附属病院の責任者だった安部英
 ミドリ十字代表取締役だった松下廉蔵・須山忠和・川野武彦、
 厚生省官僚だった松村明仁が業務上過失致死容疑で逮捕・起訴された
 2000年、ミドリ十字の3被告人に禁錮2年~1年4ヶ月実刑判決、
 2001年3月28日、安部英に一審無罪判決が出た。

山一證券破綻 (1997年11月)
 かつて存在した日本の大手証券会社
 野村證券大和證券日興證券と、日本四大証券会社を担ったが、
 不正会計(損失隠し)が発覚し、100周年の1997年11月に
 自主廃業を発表、2005年解散。

 1997年9月、元社長の三木が総会屋利益供与事件で逮捕
 1997年10月、東京地検が昭和リースに対する損失補填容疑で家宅捜索
  同日、記者会見で27億円の経常赤字発表と利益供与事件拡大を謝罪
 1997年11月、三洋証券が会社更生法の適用を申請して経営破綻
  群馬中央信用金庫が三洋証券に貸し付けていた無担保コール
  約10億円が債務不履行(デフォルト)で回収できなくり、
  北海道拓殖銀行山一証券など経営が悪化していた金融機関の
  資金調達がますます困難になった。
  当時の社長野澤は資金調達ができなくなったため、
  大蔵省の長野庬士に対して、簿外損失の存在を初めて説明
  その後、山一證券が資金供給を行っていた拓殖銀行が経営破綻
  同月17日、週刊東洋経済山一證券の損失と隠蔽方法などを報道
  同月22日、日経新聞が、山一證券の自主廃業を報道
  同月24日、臨時取締役会の後、記者会見を開き、
  「社員には、どのように説明するのですか?」と質問され、
  野澤は「私らが悪いんであって、社員は悪くありませんから」と
  立ち上がり号泣しながら述べた

*対内道徳,対外道徳
 マックス・ウェーバーが提出した対概念、二重道徳ともいわれる。
 対内道徳は一つの共同体の内部に通用する道徳や倫理が,
 外部には通用しないという局地性を表わすために用いられる。
 対外道徳とは,道徳的価値評価とは関係がなく,むしろ
 道徳的に無関心なこと,どうでもよいことを意味する。
 二重道徳はあらゆる共同体の経済的取引に原生的なものであって,
 仲間の間では扶助の立場が前提とされるのに対し,外部では
 徹底的に道徳に無関心にふるまうことが許され,金銭欲の衝動が
 全面的に解放される。
 ウェーバーによれば,近代的資本主義の経済秩序成立には、
 こうした二重道徳の克服が前提条件である、とされた。

*修身斉家治国平天下 [シュウシンセイカチコクヘイテンカ]
 天下を治めるには、まず自分の行いを正しくし、
 次に家庭をととのえ、次に国家を治め、そして
 天下を平和にすべきである。

リクルート事件 (1988年発覚、報道)
 1988年6月18日に発覚した日本の汚職事件
 未上場の不動産会社、リクルートコスモスの未公開株が賄賂として
 譲渡され、贈賄側のリクルート関係者と、収賄側の政治家や官僚らが
 逮捕され、政界・官界・マスコミを揺るがす、大不祥事となった。
 戦後日本の最大の贈収賄事件、企業犯罪とされた。
 1984年12月~1985年4月にかけて、江副浩正リクルート社会長が
 自社の政治的財界的地位を高める目的で、有力政治家、官僚、
 通信業界有力者に子会社リクルート・コスモスの未公開株を譲渡した。
 取引相手は個人39人、金融機関26社、その他37社および1個人
 1986年6月には藤波孝生官房長官ら政財界へ譲渡
 1986年10月30日にコスモス株は店頭公開された。
 譲渡者の売却益は合計約6億円とされている。
 1988年6月、朝日新聞川崎市助役への株譲渡をスクープ
 同年7月、産経新聞森喜朗元文相への株譲渡を報じ、
 以降マスコミ各社の後追い報道によって、中曽根康弘前首相、
 竹下登首相、宮澤喜一副総理・蔵相、安倍晋太郎自民党幹事長、
 渡辺美智雄自民党政調会長ら、自民党派閥領袖クラスにも
 コスモス株が譲渡されていたことが発覚した。
 90人を超える政治家がこの株の譲渡を受け、森喜朗は約1億円の
 売却益を得ていた。さらに学界関係者では、政府税制調査会
 特別委員の公文俊平にも1万株が譲渡されていたことも判明、
 森田康日本経済新聞社社長も8,000万円の売却益を得た事が
 発覚し社長を辞任した。
 国会で社民連衆議院議員楢崎弥之助がコスモス株の譲受人名簿を
 提出するようリクルートに要求
 その後、コスモス社社長室長は、楢崎に対して手心を加えるよう
 何度も贈賄を提案したため、議員宿舎での社長室長との会談の
 模様を記者協力の下、ビデオカメラで隠し撮りを行い、
 1988年9月5日、この会談のビデオ映像が『NNNニュースプラス1
 で全国放送された。
 1989年1月、原田憲経済企画庁長官が、リクルートの政治資金
 パーティー券を購入していたことがわかり辞任
 同年2月13日、東京地検特捜部は江副前会長、ファーストファイナンス
 前副社長、NTT元取締役2人をNTT法違反(贈収賄)容疑で逮捕
 4月25日、竹下首相が予算案成立後の内閣総辞職を表明
 5月25日、衆議院予算委員会が中曽根前首相を証人喚問
 5月29日、東京地検特捜部が宮沢前蔵相秘書を含む議員秘書4人を、
 政治資金規正法違反で略式起訴し、捜査終結宣言
 その後、6月3日、竹下内閣総辞職
  政治家
 竹下登長谷川峻宮沢喜一小渕恵三原田憲小沢一郎
 安倍晋太郎渡辺美智雄愛野興一郎中曽根康弘橋本龍太郎
 梶山静六森喜朗、中島源太郎、砂田重民塩川正十郎加藤六月
 大野明、栗原祐幸山口敏夫坂本三十次藤波孝生加藤紘一
 渡辺秀央原健三郎浜田卓二郎伊吹文明愛知和男
 大坪健一郎、有馬元治、野田毅堀内光雄鈴木宗男、尾形智矩、
 椎名素夫、志賀節、藤田正明、遠藤政夫、倉田寛之、鈴木貞敏、
 上田卓三、池田克也、塚本三郎田中慶秋
  官僚
 文部事務次官
 労働事務次官
 川崎市助役
 政府税制調査会特別委員
  企業・マスコミ
 NTTと関連会社の会長・幹部
 産経新聞論説委員
 日本経済新聞社社長

住宅金融専門会社
 本来、個人向けの住宅ローンを主に取り扱う
 貸金業(ノンバンク)の一業態。住専と略される。

*二信組事件 (1995年逮捕)
 不正融資事件
 1994年に経営破綻した東京協和信用組合、安全信用組合
 2信用組合の元理事長らが背任容疑で逮捕された事件
 捜査の過程で、政治家親族の会社に不正な金が流れたことが判明
 1995年、国会で山口敏夫元労相と中西啓介防衛庁長官が証人喚問
 その後、山口は背任罪や偽証罪などで逮捕
 2000年、東京地方裁判所で懲役4年、
 2003年、東京高等裁判所で懲役3年6ヶ月の実刑判決を受ける
 2006年12月、最高裁判所が上告を棄却、異議も棄却
 懲役3年6ヶ月の実刑が確定
 2007年3月22日に東京地検に出頭、収監
 2009年10月、刑期途中で仮釈放された。

*イエロージャーナリズム
 低俗で扇情的な誇張表現を用いた記事で
 読者の目を引こうとする形式のジャーナリズム
 スキャンダル,センセーショナリズムを売物にする
 ジャーナリズムをさげすんでいう言葉
 1890年代のアメリカにて、ニューヨーク・ワールド紙と
 ニューヨーク・ジャーナル・アメリカン紙が、漫画
 『イエロー・キッド』を奪い合って載せた事に由来する。
 部数拡大を至上目標として大衆に迎合するマス・ペーパーが
 黄色によって象徴されるようになった。

*東電OL殺人事件 (1997年3月)
 東京電力女性社員殺害事件とも呼ばれる
 東京電力の管理職であった女性が、東京都渋谷区のアパートで
 殺害された未解決事件。
 被疑者としてネパール人の男性が犯人として逮捕・有罪判決を受け、
 横浜刑務所に収監されたものの、のちに冤罪と認定され無罪判決を
 得た。2010年の刑事訴訟法改正による時効撤廃を受け、死刑か
 無期懲役の確定後に再審無罪になった事件で、再捜査が行われる
 初めてのケースとなった
 1997年3月19日、東京都渋谷区のアパート1階空室で、
 東京電力に勤務する女性の他殺遺体が発見された
 死因は絞殺で、死亡推定日時は遺体発見から約10日前とされる
 のちに被告人となるネパール人はこのアパートの隣のビル4階に、
 同じく不法滞在のネパール人4名と住んでおり、被害者と売春した
 相手の1人であった
 同年5月、警視庁は不法滞在していたネパール人を殺人事件の
 実行犯として強盗殺人容疑で逮捕。逮捕された被告人は一貫して
 無実を主張し、一審無罪、控訴審での逆転有罪、上告棄却、
 再審決定を経て、2012年に無罪が確定した。

*ルネ・ジラール (1923-2015)
 René Girard
 フランス出身の文芸批評家。
 アメリカのスタンフォード大学デューク大学
 比較文学の教授を務めた。
 いわゆるミメーシス(模倣=擬態)の理論を考案し、
 欲望のミメーシスな性格の発見によって新しい人類学の基礎を築いた。
 自身では暴力と宗教の人類学を専門とすると述べている。

*第三項排除
 スケープゴートが共同体の排泄するすべてのけがれを吸収し、
 それを排除することで集団の調和と秩序を強化する
 また他方で、聖性も兼ね備える。

#0002_010223_チェックアンドバランスの不在

#0002_2001年2月23日
自業自得のメディア規制

 

・強力効果論と限定効果論
 暴力的なメディアが子供の暴力的な振る舞いの
 引き金を引くことはあっても、元来の素質への
 影響はそれほど大きくない。
 大きく影響するのは受容環境(誰と一緒に見るか)である。
 他国のメディア規制は、ゾーニングとなっており、
 見たくない、見せたくないものは事前アナウンスを通じて、
 不意打ちを回避し、選択できるように規制する
 学問的に否定された強力効果論を前提とした状態で
 青少年社会環境対策基本法などの立法行為に突き進むのは問題である

・規制による利権発生の懸念
 一般に、規制をすると巨大な権益が生まれて、
 民間が官・政に媚びるようになる
 売防法施行後のヤクザへのお目こぼし、
 風営法無届けの風俗店へのお目こぼし、
 パチンコCR機導入時の、、、
 など、警察の利権が拡大した
 メディアへの規制が強化されるほど
 第四の権力としての監視が機能しなくなる

・椿発言によるチリングエフェクト
 法案ができる、できないに関わらず、
 ビビりによる自主規制がはびこる可能性がある

・権力への不信
 世論が規制を許容する背景には、
 規制対象となる権力への信頼の失墜がある
 メディアは信頼できないので規制すべし、となってる

・過熱報道の危険性
 ロス疑惑での三浦和義の報道はほとんどがデマであったが
 名誉棄損での敗訴によるペナルティーが低すぎるため、
 メディア側では書かなきゃ損、という風潮ができあがった
 名誉棄損の賠償が100万円前後では少なく、抑止効果は期待できない
 日本でも懲罰的賠償請求を認めるべき

記者クラブ制度の弊害
 古くは共産党対策として設置されたが、
 官報よろしく垂れ流す、以外の報道ができなくなっている
 調査報道がなされない上、責任主体のない情報が拡散されて、
 警察側のリークが、いかにも客観的な事実であるかのように報道される
 クラブへの新規参入は事実上不可能な条件で制約しており、
 その中で発信された情報は報道しないことにもリスクが伴う
 日本では真に公の場で行われる記者会見がない

・空気感
 先進国の中で、日本の資本システムが
 一番マスコミ・世論に対して弱い (小室直樹)
 マスコミ報道が著しく偏って世論形成している状態では
 司法もそれを配慮せざるをえない、かのような空気がある

再販制度の廃止によるメリット
 公正競争をきっかけに、既得権益の揺らぎ、
 記者クラブ制度への揺らぎ、と続いて大きな波及効果を見込める。
 新聞の宅配制を廃止すれば、各社紙面の中身での差別化が
 必要となって、調査報道での正当な競争を始めざるを得なくなる。
 既存メディアは既得権益の喪失と報道体制の見直しを要求されるため
 再販制度記者クラブ制度撤廃に反対する

<書籍・映画>
華氏451度 / レイ・ブラッドベリ (1953)
華氏451度 / フランソワ・トリュフォー (1966)

<所感> 2024年1月6日
 ロス疑惑ルーシー・ブラックマン事件、椿発言ほか、象徴的な事件について
 調べたことで、なぜ話題に挙がるのか、語り継がれるのか、を知ることができた。
 今後、このような事件・事故が起きた時の一つの指標にしたい。
 それと、放送内容と番組タイトルに若干の違和感を持った。
 また、出演中の神保さんの口調からも、放送開始直後(第2回)にもかかわらず、
 これまでのご苦労が垣間見えて、頭が下がりました。
 このアーカイブスが血と汗と涙の結晶。継続の尊さを実感します。


印象的な文言は、
「チリングエフェクト、ビビり効果」「書かなきゃ損」
「得体の知れないもののフレームアップ」「限定効果論、受容環境」
ゾーニング

#0002_010223_メモ・補足

#0002_2001年2月23日
自業自得のメディア規制


・青少年社会環境対策基本法
 強力効果論ではなく、限定効果論が主流
 暴力的なメディアが子供を暴力的にするのではなく、
 一人で見るのか、あるいは誰と一緒に見るのか、が大きく影響する

 学問的無知な状態で立法行為に突き進むのは問題

 他のメディア規制は、ゾーニング規制となっている
 見たくない、あるいは子供に見せたくない権利を保証する
 事前に暴力や性的表現をアナウンスして、
 視聴者が不意打ちを受けないよう、選択できるようにしている

・規制に対する世論の鈍感
 メディアの悪影響を懸念する間違った前提と、
 その程度の規制なら許容してもいいのでは、
 という鈍感はどこから来るのか?

 一般に、規制によって巨大な権益が生まれて、
 民間が官・政に媚びるようになる
 売防法施行後、売春が非合法となって警察を呼べなくなった
 それまでヤクザは、彼らの美学から色町花街への介入はなかったが
 これを機にトラブルの調停役として入っていった
 その結果、ヤクザが警察へ媚びる(警察がお目こぼしをする)事態となり、
 警察側に利権を生じた。

・規制による警察利権の拡大例
 新宿、歌舞伎町近辺の風俗営業について、
 無届けで営業している店がお目こぼしされるため媚びる
 パチンコのCR機導入について
 プリペイドカード方式への変更で警察に利権が生まれた

・メディアコントロール
 誰が政治家であったとしても、メディアをコントロールしたいと思う。
 政治家へ過剰に資源を渡してしまうと、必ず政治家側にだけ有利で
 民間にとって不利なメディアの動きを誘発する

・椿発言によるチリングエフェクト
 メディアの人間は、調子にのると危ない、という認識が広まった
 それは今でも残っている
 そのため、与党内で弱った人物をたたくような報道ができても、
 与党対野党の構図での報道ができなくなった
 法案ができる、できないに関わらず、
 ビビりによる自主規制がはびこる可能性がある

・帰属処理
 メディアはこれまで、有害コミック規制など、少年犯罪の理由を何かに
 帰属させてきたくせに、その矛先が自分に向いて泡を食っているだけ
 自業自得な面もある

報道被害の対策として
 ある種のプロフェッショナル、社内オンブズマンなどを設置するべき

 ポジティブな面でも、専門職としてのリサーチャーを入れるべき

・メディアへの不信
 規制が許容されやすい背景には、規制対象への信頼の失墜がある
 メディアは信頼できないので規制すべし、となる
 メディアは専門家の意見を取り入れて、
 アリバイを作ったほうがよいのではないか
 突っ込みどころの多い報道がほとんど

・メディア報道のあり方
 ロス疑惑での三浦和義への過熱報道はほとんど嘘であったが
 名誉棄損での敗訴によるペナルティーが低すぎる
 そのため、メディア側では書かなきゃ損、という
 潮流ができあがっている
 この事件での名誉棄損の賠償は100万円前後となった
 懲罰的賠償請求を認めるべき

・民事と刑事の賠償の法義
 民事は現状回復、慰謝料
 刑事は抑止
 民事にも抑止効果としての懲罰的賠償請求が必要ではないか

・チェックアンドバランスの不在
 少年犯罪抑止の優先順位が分からなくなる
 その対策立案が得票行動につながってしまっている
 得体のしれないもののフレームアップで
 自分たちの内側の不安が覆い隠される

記者クラブ制度の弊害
 古くは共産党対策として設置されたが、
 官報よろしく垂れ流す、以外の調査報道ができなくなっている
 第四の権力として期待される統治権力の監視が機能しない
 調査報道がなされない上、責任主体のない情報が拡散される
 先進国の中で、日本の資本システムが
 一番マスコミ・世論に対して弱い (小室直樹)
 マスコミ報道が著しく偏って世論形成している状態では
 司法もそれを配慮せざるをえない、かのような空気がある
 警察側のリークが、いかにも客観的な事実であるかのように報道される

再販制度の廃止によるメリット
 公正競争をきっかけに、既得権益の揺らぎ、
 記者クラブ制度への揺らぎ、と続いて大きな波及効果を見込める。
 新聞の宅配制を廃止すれば、各社紙面の中身での差別化が
 必要となって、調査報道での正当な競争を始めざるを得なくなる。
 既存メディアは既得権益の喪失と報道体制の見直しを要求されるため
 再販制度記者クラブ制度撤廃に反対する

・クラブ制度の実態
 すべてのクラブは新規参入できない構造となっていて
 日本新聞協会か民放連でないと入れない
 市町村、警察など全てにクラブが存在して、
 アクセスを制限するように奥座敷などもある
 日本では本当に公の場での記者会見はない


<書籍・映画>
華氏451度 / レイ・ブラッドベリ (1953)
華氏451度 / フランソワ・トリュフォー (1966)

<補足>
*青少年有害社会環境対策基本法案 (2000年)
 自民党が作成した法律案
 2002年に国会への上程を予定していたが、世論の強い反対で提出を断念した

 その後、2004年と2014年に、修正した法案が国会に提出されたが、
いずれも廃案となっている

*強力効果論
 メディアの影響は大きく、受け手に対して、
 直接的、即効的な影響を及ぼすという考え方の総称
 過去の実証的研究で裏付けが取れたことはない

*限定効果論
 メディアの影響は、それほど大きいものではなく、
 間接的なものにとどまるとする理論
 暴力的な素質を持つ子供は、メディアでなくても、いずれ
 別の要因が引金を引く。だから、メディアの除去では解決しない。
 メディアの内容よりも、むしろ受容環境(誰と一緒に見るか)が大事なポイントである

 

売春防止法 (1958年4月罰則施行)
 売春を助長する行為等を処罰するとともに、
 売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び
 保護更生の措置を講ずる法律
 この法律の施行に伴い、赤線が廃止された

*赤線 (1946年~1958年)
 GHQによる公娼廃止指令から、売春防止法の施行まで、
 半ば公認で売春が行われていた日本の地域
 赤線区域、赤線地帯などとも呼ばれた

CR機 (1990年導入営業開始)
 プリペイドカードに対応したパチンコ遊技機
 「CR」は「card reader」の頭文字、というのが定説
 1989年、全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)発足
 これに加盟する関東圏の7店で営業開始
 CR機の売上はプリペイドカード会社に集められ、
 どの店でどれだけ売上があったかわかる仕組みになっている
 パチンコ店には、その売上に応じてカード会社から売上金が
 振り込まれるシステムであった

椿事件、椿発言 (1993年)
 朝日放送(テレビ朝日)による放送法違反が疑われた事件
 当時、取締役報道局長であった椿貞良の日本民間放送連盟会合での
 発言に端を発したことからこう呼ばれる。
 1993年6月の衆議院解散後の総選挙にて、自民党過半数を割り、
 細川連立政権が誕生、自民党は結党以来、初めて野党に転落した。
 その後、9月21日の民放連の会合で、椿はニュースステーション
 圧力をかけ続けてきた自民党守旧派は許せない、細川連立政権の
 手助けとなるような報道をしよう、と発言
 この発言が自民党内に流れ、テレビ朝日が調査を開始し、
 椿局長へ厳重注意を言い渡した。
 その後、産経新聞がこれらの偏向報道を記事にし、
 郵政省が放送法違反の恐れから、無線局運用停止を示唆
 椿は衆議院で証人喚問され、発言を陳謝した。
 翌1994年8月にテレビ朝日は内部調査の結果を郵政省へ報告し、
 免許取消し等の措置は見送り、行政指導にとどめた。

 その後も自民党内で放送番組への規制強化の声が高まり、
 2003年11月、ニュースステーションにて、民主党菅直人
 過度に好意的に報道した、として自民党安倍晋三幹事長が
 抗議し、出演一斉拒否を決定したり、両者の対立はしばしば再燃している。

オンブズマン
 スウェーデン語:ombudsman
 原義は「代理人
 行政機関やメディア、社会などを外部から監視・検証し、
 権利・利益の侵害に対する調査及び救済の勧告を図る制度
 または団体のこと

ロス疑惑 (1981~1982年)
 アメリカ、ロサンゼルスで起きた銃殺・傷害事件に関して
 三浦和義にかけられた一連の疑惑
 報道の過熱化、人権侵害や一事不再理の原則などの問題を投げかけた
 ロサンゼルスで起きた殺人事件に関して、当初被害者の夫、
 三浦和義が「保険金殺人の犯人」ではないかと日本国内の
 マスメディアによって嫌疑がかけられ、劇場型犯罪となった。
 殺人事件に対する科学的な考察よりも、
 その男性にまつわる疑惑について盛んに報じられた。

 三浦は、2003年日本の裁判で無期懲役から一転して無罪が確定した。
 しかし、その後2008年にアメリカで、共謀罪の罪で逮捕され、
 ロサンゼルスに移送後、ロサンゼルス市警の留置施設にて、
 首をつって自殺した。

 この銃殺事件の3か月前、「殴打事件」に絡んだ殺人未遂罪で
 1998年9月、懲役6年の実刑判決が確定。
 1998年11月に収監され、2001年1月に宮城刑務所を出所した。
 未決勾留日数を差し引いた約2年2カ月間、服役した。

*鉄の三角形
 政策形成過程における政官財(政界、官界、財界の3業界)の
 癒着構造を示す語。

 政官財が以下の行動を取ることにより、
 国益より省益・企業益・私益が優先される。

 財界等の業界団体や圧力団体が政治献金族議員(政治家)を支援し、
 財界に影響力のある官僚を天下りで懐柔する。
 官僚は所轄業界をまとめ、その利益代表として動き、
 政治家・財界を許認可権限・公共事業・補助金で影響力を持つ。
 政治家は官僚・財界の通したい予算・法案成否について影響力を
 行使し、財界から政治献金を集め、官僚への限定的指揮権を持つ。

ルーシー・ブラックマン事件 (2000年7月)
 神奈川県三浦市でイギリス人女性ルーシー・ブラックマン
 強姦されて死亡した事件

 2000年7月1日にホステスとして六本木で働いていたブラックマンが、
 行方不明になった。7月3日に友人が警察に捜索願を出した。
 8月22日にブラックマンの妹が記者会見し、1万ポンド(当時160万円)の
 懸賞金をかけた。10月12日に別件の準強制わいせつ容疑で織原城二
 容疑者が逮捕された。その後、2001年2月、三浦市内の海岸にある
 洞窟内、地面に埋められた浴槽内で切断された遺体が発見された。
 その後、ブラックマンを含めた10人の女性(日本人4人と外国人6人)に
 準強姦をし、そのうち2人の女性を死亡させたとして東京地検から
 東京地裁に起訴された
 審理は2000年12月の初公判から2007年4月の判決まで61回に及んだ
 2010年12月7日付で最高裁控訴審無期懲役判決を支持して
 被告人の上告を棄却する決定をしたため無期懲役が確定した

再販制度 (1953年、独占禁止法の改正)
 正式には再販売価格維持制度
 独占禁止法上は原則として禁止されている再販売価格の指定を
 例外的に認める制度。書籍、雑誌、新聞及びレコード盤、
 音楽用テープ、音楽用CDの6品目については例外的に、
 言論の自由や文化の保護という見地から、再販売価格の指定が
 認められてきた(著作物再販制度)。
 出版物についての廃止検討が70年代末に公正取引委員会から
 提起され、特に90年代に入って本格的になった。
 これに対して、日本新聞協会が新聞の戸別配達の維持や質の低下の
 回避などを主張し、強く反対している。
 また、05年末に公正取引委員会は、差別価格販売や定価割引等を
 禁止する独占禁止法上の「特殊指定」の新聞への適用を見直す
 考えを示したが、反対が強く、実施はされていない。


ウォーターゲート事件 (1972年)
 アメリカの政治スキャンダル事件
 1972年6月17日にワシントンD.C.民主党本部で起きた中央情報局
 (CIA)工作員による盗聴侵入事件に始まり、1974年8月9日に
 ニクソン大統領が辞任するまでの盗聴、侵入、裁判、もみ消し、
 司法妨害、証拠隠滅、事件報道、上院特別調査委員会、録音テープ、
 特別検察官解任、大統領弾劾発議、大統領辞任のすべての経過を
 総称して「ウォーターゲート事件」という

#0001_010206_英知を結集せよ

#0001_2001年2月6日
前代未聞のインターネット・トークショー始まる


・何よりもだめな日本
 森首相退陣、ダメな要素を全部くっつけて退陣させる
 ある種の禊、退陣誘導

・官権から民権へ、ではない
 民間もだめ(三菱、雪印、JCO)、マスコミもだめ

・英知結集システムの不在
 海外では、政策シンクタンクがあるため
 政治家が無能であってもバカなことを公言できない
 第三の道を理解する政治家がほとんどいない

・政府への不信
 国債の返済計画が曖昧なために、
 将来への不安から貯蓄が増加し、消費が減少する
 経済企画庁の見通しも、企業収支の値が悪くないように見えるだけで、
 リストラでの失業や、その不安から、消費が下がる 

・空気の研究
 共同体の空洞化とそれに基づく不安から、
 既得権益にしがみついていた人間でさえ手のひらを返す
 このような、ある種のファシズム現象を利用した手法が効果的で、
 これしかない、とさえいえる
 ただし、些細なことがきっかけで手のひらを返すことも起きるため、
 注意が必要

・議員内閣制の回し方
 人々の熱情を利用して、官僚と県民を教育するのがよい
 最大のポイントは、行政のチーフがどれだけ官僚をうまく使えるか
 官僚を敵に回してはならない
 官僚は既得権益を追求するものなので、それ以外のオルタナティブ
 動機づけをポピュリズムから調達するのがよい
 何かを達成した際には、市民が官僚を褒めたたえてプライドを満たす

・マスコミ
 伝統的な調査報道をほとんどしないで、官報よろしく垂れ流す
 政界、官界とマスコミの間にある古典的な共同体メカニズムの中で、 
 永田町の論理と全く同質のものにマスコミをどっぷり浸している
 公正な情報をもとにした競争ができていない

菅直人民主党幹事長との電話対談
 - 民主党を主体とする与党連合ができたとしたら?
  従来の自民党とは違う点として、利害関係者がほとんどいない。
  過去のしがらみのない、若い人材で新しいことができる。
 - 有能な政策ブレインがいないと難しいのでは?
  官僚が独占している政策立案の市場をフリーにして
  民間でも優秀な人から意見を取り入れる
 - 英知集結のシステム構築を希望します
  マーケットと同じ原理で、淘汰する過程を乗り越える
  政治の土台を国民がコントロールできるようにする
  選挙当選に関係なく、本当に力のある人が参画できるように

・スキーム自体を変えるために
 若い世代が社会の意思決定に参画できるようになるには、
 20年以上かかるだろう
 既得権益はまだあるが、この先見通しが悪い、と気づいてきた、
 と感じるが、その代替案をただ待っているような感じである
 コミュニケーションを通じて、ハードランディングのショックを緩和していく

<書籍・映画>
*何よりだめなドイツ / エンツェンスベルガー (1968)
*「空気」の研究 / 山本七平 (1977)

<所感>  2024年1月5日
 第一回から「言っていることは変わっていない」ことに驚いた。
 この20年の変遷を勉強して、今後の20年に活かしたいと思った。

 印象的な文言は、
 「官報よろしく垂れ流す」「手のひら返し」
 「英知結集」「既得権益

#0001_010206_メモ・補足

#0001_200126
前代未聞のインターネット・トークショー始まる


・森首相退陣
 バキューム、ゴミ箱、何よりもだめな日本
 潜水艦、ゴルフ会員権、そこが知れない

三菱自動車雪印JCO、マスコミ、民間もだめ

地域振興券は愚策
 公明党の発案で、ただ配ったといえるこの政策は愚策
 ヨーロッパのポジティブウェルフェアという観点で言えば、
 例えば、隣りの爺ちゃん、婆ちゃんの肩をもんだ人にはいくらあげましょう。
 といったほうが、公共的な動機付けを惹起できる。方がほぐれて労働意欲がわく。
 これは意味のあるお金の使い方である。

国債、民間への借金は一般に悪くない
 借金の返済計画がしっかりしていないので、
 不安から貯蓄してしまうと悪い借金となる。
 ケインズ的に言えば、資本主義にとって貯蓄は最大の犯罪
 過剰な借金については、いつも相対的
 政府に信頼があれば、安心して消費ができる
 現状では八方塞がり

経済企画庁の今後の経済の見通し
 単純に企業収益を見ただけで、数値が上がって見えるだけ
 カラオケの採点と同じように、下手くそなのに点はいい
 聞いている人は明らかに、良くないことが分かっている
 リストラクチャリングをすれば、収支財務状況は良くなるが、
 民間には失業が増えて、不安が増大して、消費が下がる

第三の道を理解している政治家がほとんどいない
 新自由主義(サッチャリズム)の問題、
 機会の平等を主張しているくせに機会の不均等配分が広がって格差が拡大した
 市場に任せるといいながら、市場の外では性別役割分業が進んだ
 これを反省し、
 結果の平等ではなく、意欲を見せる者へより多く配分する
 アメリカ、ブレア政権(ギデンズ)は従来の性別役割分業ではなく、
 ある種の保険をかける方式をとろうとしている。
 これは、政治では、最大多数の最大幸福ではなく、最大多数の最小不幸、
 マックスミニ戦略、政治思想史の中ではロールズ原理ともいえる
 こういう流れを知る者がいない

・政策シンクタンク
 ヨーロッパやアメリカであれば、有能な秘書やシンクタンクがあって
 政治家が無能であってもバカなことを公言できないシステムがある

田中康夫長野県知事ファシズム現象
 93%の支持率はファシズム現象に合致する
 共同体の空洞化とそれに基づく不安から、
 従来規則権益にしがみついていた人間でさえ手のひらを返す
 人々の熱情を利用して、官僚と県民を教育するのがよい
 現代において、この手法が効果的で、これしかない、とさえいえる
 反面、小さなこときっかけでマスコミが手のひらを返すと
 バッシングが始まると元の木阿弥となってしまう。
 石原慎太郎をモデルにするとよいのではないか
 余裕をかました素振りが必要で、パフォーマンスが上手い
 議院内閣制のもとでは、行政のチーフが官僚をどれだけうまく使えるか、
 が最大のポイントで、官僚を敵に回してはならない
 官僚は既得権益を追求するものなので、既得権益以外のオルタナティブ
 動機づけをポピュリズムから調達するのがよい
 何かを達成した際には、市民、県民が官僚を褒めたたえてプライドを満たす

・マスコミへの対応
 ある種の空気、空気感が変わると、急速な手のひら返しが起こる
 日本的な現象で、マスコミの扱いが非常に難しい
 伝統的な調査報道をほとんどしないで、官報、準官報よろしく垂れ流す
 政界、官界とマスコミの間にある古典的な共同体メカニズムの中で、
 永田町の論理と全く同質のものにマスコミをどっぷり浸している
 公正な情報をもとにした競争ができていない

記者クラブ制度
 歴史的には赤旗を除外するためにできた制度

菅直人民主党幹事長との電話
 民主党を主体とする与党連合ができたとしたら?
  従来の自民党とは違う点として、利害関係者がほとんどいない。
  過去のしがらみのない、若い人材で新しいことができる。
 有能な政策ブレインがいないと難しいのでは?
  官僚が独占している政策立案の市場をフリーにして
  民間でも優秀な人から意見を取り入れる
 英知集結のシステム構築を希望します
  マーケットと同じ原理で、淘汰する過程を乗り越える
  政治の土台を国民がコントロールできるようにする
  選挙に当選したかどうかでなく、本当に力のある人が参画できるように

・議員が自分の頭で考えることを続ける限り、
 官僚主導の現状を変えることはできない

阪神淡路大震災後の解放感
 時間がたってPTSDを発症するまでの短い期間だが、
 何もかも失って、むしろ解放感を得た人がいた。
 あるスキームの土壌ごとなくなってしまえば、
 新しい体験の枠組みで進める。
 コミュニケーションを通じて、
 ハードランディングのショックを緩和していく

・スキーム自体を変えるためには
 少なくとも20年以上の期間が必要になるだろう
 若い世代が社会の意思決定に参画できるようになるのに
 やはり時間がかかるだろう

既得権益はまだあるが、この先の見通しが悪い、
 というところまでは気づいてきた、と感じるが
 その代替案をただ待っているような感じである

<
書籍・映画>
*何よりだめなドイツ / エンツェンスベルガー (1968)
*「空気」の研究 / 山本七平 (1977)

<
補足>
*三菱リコール隠し事件 (200012)
 三菱ふそうによる大規模なリコール隠し事件
 さらにその後、2004年にもリコール隠し発覚
 2000年の調査が不十分だったことが判明し、販売台数が激減
 ダイムラー・クライスラーからの資本提携の打ち切りで経営不振に
 三菱グループから様々な救済を受けて倒産の危機を脱する
 組織的なヤミ改修、クレーム情報の二重管理などが発覚
 業績悪化によるコスト削減、大規模リストラ、縦割り組織のセクショナリズム
 ブランドイメージ悪化の懸念などが原因として考えられる

雪印集団食中毒事件 (200067)
 雪印乳業の乳製品による集団食中毒事件
 認定者数が14,780人にのぼる戦後最大の集団食中毒事件
 北海道の工場で停電が発生し、黄色ブドウ球菌が増殖、毒素が発生
 叱責を恐れて隠蔽、殺菌すれば安全と判断し、脱脂粉乳を製造、出荷
 大阪工場にて雪印低脂肪乳、のむヨーグルトの製造に使用
 6月末、和歌山、大阪で食中毒が発生し、保健所が把握
 7月、大阪工場は操業停止、そのまま閉鎖
 症状は嘔吐・下痢・腹痛などが中心 (ただし、入院の重症者も発生)

東海村JCO臨界事故 (1999930)
 茨城県那珂郡東海村の核燃料加工施設で発生した原子力事故
 国内で初めて事故被曝による死亡者が出た
 ウラン溶液が臨界に達し、核分裂連鎖反応が発生 (20時間持続)
 至近距離で多量の中性子線を浴びた作業員3名中、2名が死亡、1名が重症
 その他、667名の被曝者を出した
 「裏マニュアル」での工程管理と、効率化のために、そのマニュアルをも
 逸脱した作業手順が原因で臨界事故が発生した

加藤の乱 (200011)
 第2森内閣打倒を目指して、
 与党自民党加藤紘一山崎拓らが起こした倒閣運動
 野党が森内閣不信任決議案を提出する動きを見せると、
 加藤紘一が、賛成もしくは欠席すると宣言し、
 これに山崎拓が同調する構えを見せた。
 党幹事長の野中広務による党内引き締めにより
 加藤の企図は失敗したが、自民党内の混乱は森政権の
 凋落に一層拍車をかけることになった。
 当時、加藤紘一山崎拓小泉純一郎3人は、
 次世代のリーダー候補と言われ「YKKトリオ」と
 呼ばれていたが、この件で加藤、山崎は打撃を負い、
 翌年春の総裁選で小泉純一郎が当選する伏線となった
 重大な党内内紛であったと評されている。

第三の道 社民政権
 イギリスでの第三の道は、
 教育の充実などに立脚した上での、機会の平等に重きを置く
 移民政策にも通じる多様な文化的「差異」を前提として
 グローバリゼーションへの対応を指向する
 具体的な政策としては、所得税法人税の軽減など、
 社会下層に配慮した就労支援や公立校改革など、
 また、弱者の手当てや、社会参加の動機づけを持つ者の支援
 そして、公共サービスでのPPPPublic-Private Partnership)による官民連携、
 さらに、サッチャーによる中央集権政策への反省から
 地方の自治・自立を促す地方分権など
 また、1999年には、英国では初となる最低賃金法を導入

マキャベリズム
 どんな手段や非道徳的な行為であっても、
 結果として国家の利益を増進させるのであれば許されるという考え方
 支持者や行為者をマキャベリストと呼ぶ。
 英語ではマキャヴェリアン (Machiavellian)

しんぶん赤旗
 日本共産党中央委員会の発行する日本語の日刊機関紙
 旧称・通称「赤旗」「アカハタ」
 創刊は治安維持法が存在した1928年、非合法の地下新聞だった。
 戦前創刊当時の「赤旗」の読みは音読みで「せっき」